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会話作文~想いのカタチ
2010-02-26 Fri 19:15
こちらでは昨日春一番が吹いたらしいです。
あったかいけど凄い風でした。
花粉も元気よく飛んだことでしょうね・・・。

春一番って、冷たい風じゃないけどとても強く吹きますよね。
暴君の妄想世界でも、強風の後には温かい春がくるように。
そんなイメージで作文。ちょびっとだけシリアス。
おひまでしたらどうぞ。



想いのカタチ


森永の様子が最近少しおかしい。
宗一はそう感じるようになっていた。
いや、おかしいというほど変わってはいないかもしれない。
大学でも家で過ごす時も特別何かが変というわけではない。
相変わらず気は利くしよく動くし作る食事も美味い。
ただ、ここ数日、いやもう2週間も

全く“してこない”のだ。
迫ってくることもねだってくることもない。
触れることも、キスさえもしてこない。

宗一がそんな森永の変化に気付いたのは、“こと”があってから1週間ほど経った時だった。
森永は、週に何度かは必ずキスを迫ってくる。
強引だったり甘えてきたり、パターンは様々だが宗一に触れたいという気持ちを素直に伝えてくる。
特に週末はそのまま流されてしまうことが多かった。
ところが、そういうことがその週は一度もなかったのだ。

先週末の夜、森永は用事があると言って出かけていった。
それほど遅くない時間に帰宅したものの、翌日も森永は一人で外出した。
元々人に深く干渉しない主義の宗一のこと、“あいつにもあいつの付き合いがある”と思うだけだった。
今週同じことをされるまでは。

「先輩、オレこのあと友達と会う約束があるんで、少し出てきていいですか」
土曜の夜、夕食を終えたところで森永が切り出した。
「これからか? 飲みに行く予定があったんなら夕飯食うことなかったのに」
「友達が夜の方が都合いいって言うんで。先輩は気にしないで下さい。じゃ、ちょっと行ってきます」
「飲みすぎるなよ」
「そんなに遅くならないで帰りますけど、先に寝ててくださいね」
にっこり笑って森永は出かけていく。

宗一は、森永の後ろ姿を見送りながら先週のことを思い出した。
先週もこんな風にそそくさと出かけて行った森永。

そういえばもう2週間も“なにもされていない”。
同居を始めてから、こんなに長い間森永からの誘いがないことは・・・なかった。

(別に気にすることじゃない。寧ろ助かったと思えばいいんだ。あいつとするのは苦痛以外のなにものでもないんだから。・・・苦痛なんだよ・・・あいつを拒絶し続けることも・・・)

ここにいない森永のことばかり考えている自分に気付き、宗一ははっとした。
あの苦痛がなければこの生活は本当に快適なものになる。
そのはずだった。
どうしてこんなにモヤモヤするのか・・・。

森永は自分のことを好きだと言う。何度も何度も。
でも自分はその気持ちに応えていない。応えられないのだ。
(あいつとオレの気持ちは・・・違う。だから・・・応えられない)
宗一が何度拒絶しても森永はそばを離れなかった。
いつの間にか同居までしている。
そんな森永でもしびれをきらす時期が来たのか。
(オレが・・・やっぱりさせないからか?)
自分も森永の気持ちを利用してきた。それは自覚しているつもりだった。
考えようによっては、体を使って引き留めてきた・・・のかもしれないということも。
(あいつはやりたがりだし、もう限界かもしれない。拒んでばかりのオレに・・・愛想もつきたか。最近一人で出かけることが多いのは・・・そういうことなのかもな)

ふと、宗一は森永の笑顔を思い出した。
(あいつには・・・もっとふさわしいヤツがいる・・・オレじゃなくて他の・・・誰か・・・)
ほんの少し胸の奥が痛い。
森永の切ない表情、必死な表情、悲しげな表情が思い出される。
(あんな顔をさせるために一緒にいるんじゃないのに。オレじゃなければ・・・あいつはいつも笑っていられるのか。オレじゃなければあいつも・・・愛してもらえるかも・・・しれないんだよな)

自分でたどり着いた答えのせいなのか、鼓動が早くなるのを感じた。
部屋の温度が下がった気さえする。

オレは・・・どうしたらいい・・・?


日付が変わろうとする頃、静かに玄関のドアの開く音がした。
森永が帰宅したのだ。
そろそろ眠ろうとしていた宗一は、「おかえり」「おやすみ」の挨拶だけしようとソファーから腰を上げる。

「おう、おか・・・」
「ただ・・」
リビングに通じた扉を開けた森永と、迎えようとした宗一がぶつかりそうになった。
息がかかるほどの距離。

「お、おかえり・・・」
「た・・・だいま」
この部屋でこんなに近づいたのは何日ぶりか・・・。
それでも、宗一は見逃すことができなかった。
ぶつかりそうになった瞬間、森永が自分を避けるように身体を震わせたのを・・・。

潮時だな・・・そう、感じた。


「森永」
部屋着に着替えてリビングに戻ってきた森永に宗一は話しかけた。
「はい?」
「お前、オレに何か言いたいことが・・・あるんじゃないか?」
「え?」
森永の瞳が一瞬揺れる。
「遠慮とかしなくていいから、言いたいことはちゃんと言え」
「? なんのことです?」

森永の答えを待てずに、宗一は切り出した。
「オレたち・・・離れた方が良くないか」
「・・・え?」
「・・・同居は早めに解消しよう。大学の方も・・・なんとか考えてみるから」
「ちょっと、ちょっと待って下さい。なんで? なんで急にそんなこと言うんです? オレ、なんかしました? なんか気に障ることしたなら言っ・・・」
「・・・そうじゃない」
「・・・」
「そうじゃないから。落ち着いて話そう・・・な?」
「先輩・・・」
冷静に話したいと宗一は思っていた。
それでも、どうしても森永と目を合わせることができず、顔を逸らしたまま言葉を続けた。
「オレはお前の気持ちを知ってて・・・なのにずっと応えてこれなかった。これからも応えられない・・・かもしれない。辛い目にも合わせたよな・・・悪かった」
「・・・なんで?」
「オレじゃなくて・・・別のヤツにしろ。お前を・・・ちゃんと見てくれるヤツに」
「別のって・・・別ってなんですか? 先輩がなんでそんなこと言うのか、オレ、全然分かりません」
息を吸って、なんとか声を絞り出す。
「そーゆーヤツ、もう・・・いるんじゃないのか?」
「え?」
「お前最近一人で出かけること多いし・・・その・・・オレを避けてるとこあったろ・・・」
「あ・・・」
言い淀む森永に、自分の考えは間違っていなかったのだと宗一は思った。
「オレに気を遣うなって。・・・そういう相手が出来たなら・・・良かったじゃねーか」
良かった、と言う声は自分のものなのに、なんだかとても遠くから聞こえるような気がする。

「・・・オレが浮気してるって思ったの?」
長く続いた沈黙を破ったのは、森永の静かな声だった。
「は?」
「オレが先輩以外の人と、ってそう思ってるんですか?」
「いや・・・浮気とかじゃなくて・・・その、ちゃんと・・・」
「するわけないでしょう! オレが他の誰かとなんて・・・何考えてんですか、先輩」
怒気を含んだような森永の声。予想外の反応に宗一は怯んでしまう。
それでも森永は反撃をやめない。
「なんで、なんでそんな風に思ったの? オレのこと疑ってんですか?」
「疑ったって・・・そうじゃないって言ってるだろ。人の話をちゃんと聞けよ」
「だって・・・そう言ってるようにしか聞こえないから」
「じゃあ、なんでオレを避ける必要があるんだよ」
「・・・避けてなんか・・・ない」
「そういう相手がいないなら、しょっちゅう出かけてたのはほんとに偶然か? わざとだろーが! オレといたくないからじゃねーのか?」
「違・・・」
「・・・何にもしてこねーしよ・・・」
「え・・・?」
「普段やりたいやりたい言ってるヤツがぱったり言わなくなったら、他に・・・できたんだと思うだろ。だから・・・」
「疑ったのは・・・それが原因?」
「そ、それだけじゃねーけど・・・」
「・・・そっか。避けてるつもりはなかったんだけどな・・・先輩がそう感じるくらいなんだから相当態度に出てたんですねオレ」
森永の声は、どことなくほっとしたような力の抜けたようなものに変わった。

「先輩、ちょうど実験とレポートのまとめ作業の追い込みだったでしょう。今度のレポートが凄く重要だって知ってたし・・・オレがいることで気を散らせちゃいけないと思って」
ほんの少しの邪魔もしたくなかったから、と森永は言葉を続けた。
「レ・・・ポート??」
「どんなに我慢するって決心しても先輩の近くにいたらオレ・・・自制する自信なくて、それで休日は外に逃げてました。逆に気にさせちゃったみたいで・・・すみません」
「・・・」
「誰もいないし、何もないよ。先輩」

「ちょちょ、ちょっと待て?!」
宗一の科学的思考は一旦停止させられ混乱しはじめた。
(オレの出した答えは・・・どっから間違ってるんだ?)

「レポートの邪魔にならないようにしてただけ?」
「はい」
「・・・新しく好きになったヤツは?」
「そんなのいません」

(あれ? オレの考えてたことは最初から全部違ってたのか??)

「それで先輩、レポートは出来上がったんですか?」
「あ? ああ、さっき・・・」
「そうですか。お疲れ様でした」
「・・・気を遣わせたな」
「いえ、でも」

森永の右手がすっと伸びて宗一の頬に触れた。

「もう、我慢しなくていい?」
「は?」
「もう・・・先輩に触れてもいい?」

瞳を覗きこまれ宗一は言葉に詰まった。
この瞳に見つめられるのもどれくらいぶりだろう。

「・・・昨日もあんま寝てない・・・」
「あ・・・そうですよね。うん・・・わかった」
「・・・」
「だけど・・・抱きしめるだけならいいよね」
「え・・・」

返事をする前に、宗一は森永に引き寄せられた。
いつもなら驚いて緊張するはずの森永の胸の中が、なぜかとても心地いい。
広い胸、温かい腕、聞こえてくる心臓の音、そして森永のにおいと体温・・・。

(全部が、こいつだ・・・)

森永が強引な人間だということはよくわかっているつもりだった。
だが、こんな時の森永は強引なくせにこちらを思い遣っているように優しい。
その優しさが、宗一の感覚を麻痺させてしまう。

「先輩だ・・・ちゃんと」
「・・・なんだよそれ」
「オレ、すごく我慢したんですよ」
「ん・・・」
「どうにかなりそうだった」
「・・・」
「ちょっとは褒めてくれる?」
「・・・頼んだわけじゃねーだろ、バーカ」
「先輩、酷い(笑)」

少し笑った森永の息が、宗一の耳元で揺れた。
それが妙にくすぐったい。

「浮気なんか・・・するわけないでしょ。そんな余裕ないよ・・・」
「わかったって・・・」
「一人でいても、友達と飲んでても、寝てるときだって・・・先輩のことばっかり考えてた。ずっとずっと先輩のことだけ思ってた」
「・・・」
「一人でも自由になんないのに・・・そんなの無理だよ、先輩」
「・・・悪かった」
「うん、悪い(笑)」
「このっ」
「大好き・・・」

(余裕ないとか、言うな。こっちだって・・・レポートどころじゃなかったんだからな・・・)

徐々に強くなる腕の力に、宗一は抗わずに体を預けた。
自分を包むように抱きしめるこの男に、少しだけでも応えてやりたいという思いが頭を掠める。
そして
今はただできるだけ長くこの腕に包まれていたいと、そう思うのだった。


おしまい



うちの兄さんは森永君に対してちょっと優しすぎですね(苦笑)
もうちょっと暴君的なとこがないとなあ・・・。
森永君の幸せ?を思って色々考えてしまう兄さん、というものがずっと私の中にあって
今回、書いてみました。
もっと寝かせてあっためて練習したあとの方がよかったかな。
でもそうそう文章書くのが上手くなる訳じゃないし、まあいっか。
さてさて、森永君はこのまま抱きしめるだけで終われるのでしょうかね~(笑)

読んでくださって有難うございました。
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