FC2ブログ
 
会話作文~メッセージ
2013-02-17 Sun 04:23
またまたまた遅刻しました~~~すみません。
書き上げようかどうしようか迷って、それでも作文の形にしたかった
バレンタイン作文です。
3日も遅れて今更~~~?って感じですが、2月14日のお話だと思って
読んでくださるとありがたいです。

※この作文の内容は、漫画「恋する暴君」本編とは全く関係ありません。
オリキャラも登場いたしますので、二次創作等が苦手な方は読むのをご遠慮ください。



「森永先輩」

振りむいた視線の先の、自分を呼んだ聞き覚えのない声の主はとても小柄で、森永は一瞬誰だったかと考えながら相手を一瞥した。
先輩、という敬称をつけて呼ぶからには後輩に違いないんだろう。
そこでやっと、この少女の顔立ちになんとなく見覚えがあることに気づく。

「君はたしか・・・松村教授のとこの?」

何度か講義の手伝いをしたことのある教授のゼミで見掛けたような、という曖昧な記憶は正しかったようで、森永の問いかけに彼女は小さくうなずくとためらいがちに両手を差し出した。
その手に握られていたのはリボンのかかった両手サイズの綺麗な箱。
説明されなくても箱の中身がチョコレートだとすぐに解る、今日は2月の14日。

「あの、これ・・・た、巽先輩に渡していただけませんか?」

上品な色合いでラッピングされているそれは、どことなく高級感を漂わせていて、手作りとは違う意味で義理チョコでないことは容易に想像できた。
しかし、予想外の告白に森永は一瞬言葉を失ってしまった。
真っ赤に染めた顔を隠すことなくまっすぐ見つめてくる彼女の真剣な様子を直視できず、森永は自分が内心うろたえてることを自覚した。

「・・・こういうのは、自分で直接渡した方がいいんじゃないかな? 人伝で貰うのは先輩も好きじゃないと思うし・・・」

彼女の必死な表情を見ていられず、同時に自分の動揺も知られたくなくて、視先を逸らしながらそう答えるのが精一杯だった。

「すみません・・・自分で手渡した方がいいってわかってるんです。でも、いざ本人を目の前にしたら何も言えなくなるような気がして・・・。も、森永先輩ならお願いできそうだなって思って…巽先輩と仲がいいし、・・・すごく失礼なお願いだとは思ったんですけど、あの・・・」

懸命に説明を続ける彼女の声は少しずつ小さくなり、最後の方は涙声に近くなっていく。

「私が3年の時に巽先輩が松村教授の助手をされてた時期があったんです。臨時の助手でしたし、言葉をかわしたこともほとんどなかったんですけど、素敵だなって思って憧れて、それからずっと・・・」
ずっと見てたんです、と消え入りそうな声で言う。
チョコを差し出したままの両手が震えているのがわかる。

「私、今年卒業するんです。もう会えなくなるから・・・」

返事はもらえなくていい、ただ想っていたことを伝えられたらそれでいいのだと何度も頭を下げられて、森永は複雑な気持ちになった。


「・・・で?」
「え・・・と、だから、今説明した通りで・・・」

とても内気そうに見えたあの少女にしてみれば、どれだけの勇気を振り絞って自分に声をかけたのだろうと考えてしまった森永は、最終的に彼女からのチョコを宗一に渡す役を引き受けたのだった。

少女に呼び止められたのは昼休みだったのだが、午後はお互いに教授に呼ばれたり研究室の外に用ができたりで、なかなかチョコを手渡す機会がなかった。
やっと二人きりになれた時には、陽も沈みすっかり暗くなっていた。
森永としては実験が一段落したところで話をしようと気を遣ったつもりが、長時間の実験に疲れ始めていた宗一には迷惑な話以外のなにものでもなく。

「オレはこういうことには疎いが、自分で手渡すこともできねえならこんなもん用意する意味ねえし、人に頼むなんてのはもってのほかなんじゃねえのか?」

宗一は特に表情を変えることなく、興味もなさそうな声で否定でも肯定でもない答えを返す。

「オレはただ・・・渡すくらいならしてあげてもいいと思っただけです・・・」
「それが無意味だっつってんだろうが。相手に無駄な期待を持たせるのもよくねえだろ?」

今更返すわけにもいかねえし、と不機嫌極まりない表情の宗一。

「そ、それでも、返事いらないって、伝えたいだけだって言ってたんです、その子。言わなきゃ伝わらないし、どんな方法でもいいから伝えたい気持ちってあるんですよ」
「は?」
「・・・オレもそうだったからわかる。先輩を好きになって、ずっとずっと好きで、長い間伝えることができなかったから・・・言っちゃいけないって解ってたし。結局気持ちが飽和状態になっていきなり告白しちゃったけど、それでも相当勇気出したんですよ、あの時は」
「もり・・・」

うつむき加減で呟く森永の唇がほんの少し笑いの形に変わる。
微笑んでいるような、自嘲しているような、そのどちらでもあるような小さな笑い。
あの時・・・森永がゲイであることをカミングアウトし、宗一に告白した2年前の春の日のことを二人同時に思い出し、お互いの間に戸惑うような空気が流れた。

「あの時言えてなかったら、今、こんなふうに先輩のそばにはいられなかったんじゃないかな。だから、伝えようとするだけで十分だったり、そう思う人間もいるんですよ、オレや彼女みたいに」
「完全な自己満足じゃねえか」
「そうかもしれないけど…こういう形でしか気持ちにケジメつけられない場合もあるから…」

森永の、変に一生懸命な説明にも宗一からの返答はなく、流れ続ける気まずい空気に耐えきれなくなった森永が視線を戻すと、今度は宗一の方があさっての方向を見つめながらなにやら思案していた。

「でも、やっぱりすみませんでした・・・先輩を困らせるつもりはなかったんですけど、ほんとに」
「・・・・」
「先輩がどうしても嫌なら・・・彼女に返してきます」
「お前・・・その子に、まだ会う機会あるのか?」
「え? ええ。絶対とは言えませんけど、教授のとこに顔出すこともあるって言ってましたから」
「そうか・・・」

はぁ、と軽くため息をついて森永の方に向き直った宗一と再び視線が交差する。

「じゃあ、お前から言っといてくれ、その子に」
「え?」
「まず・・・チョコありがとう、それから、卒業おめでとうって・・・」
「先輩?」
「なんだよ? 会う可能性があるなら礼くらいはしといた方がいいだろ? ・・・頼まれたお前の立場的にも」
「オレのことなんて全然・・・オレが勝手に引き受けただけですし。でも・・・彼女喜ぶと思います」

嘘には見えない森永の微笑みに、宗一は不思議な気分になった。

「お前、やっぱちょっと変だよな」
「はい?」
「なんだか応援してるみたいだぞ?」
「応援? ま、まさか! オレはただ彼女に頼まれたことをしただけです。先輩を一番好きなのはオレだし、先輩自身を誰かに渡すわけないじゃないですか!」
「わ、渡すって、オレはモノじゃねえぞ」
「先輩・・・もしかして、ちょっとでも心動いたりとかしてます?」
「なにバカなこと言ってんだ(呆)」
「よかった(*^_^*)」
「ホントよくわかんねえ奴・・・まあ、お前らしいと言えばそうだけど」

人の好い後輩のおせっかいな行動につきあわされただけのような気もするが、こいつのこういうところが放っておけないのだと改めて自覚する。
まったく面倒なことだ、そうは思うのだけれど。

「それからもうひとつ」
「? なんですか?」
「・・・チョコを貰う相手は決まってるから、気持ちは受け取れない、と伝えといてくれ」
「え?」
「そ、そう言っといた方がその子もすっきりするんじゃねえかと・・・思ってさ」
「先輩、それってオレのこ・・・」
「この話はこれで終わりだ!! おわり!!」
「先輩~~~もう、ほんとにほんとに大好きです!!!」
「く、くっつんじゃねえっっ!」


自分で引き受けておいて 言えることではないけれど
彼女への答えを出すほんの一瞬でさえ
他の誰かのことを考えてるあなたを見るのが 嫌だった
つまらない嫉妬と焦燥感
それを消してくれたのは やっぱりあなただった・・
「ずっと見ていた」
彼女はそう言ったけれど オレも自信を持って言えるよ
見ていた期間も誰にも負けはしない、と


おしまい



バレンタイン作文も4回目です(毎回こんな出来ですが^^;)。
最初に書いたものでは、ココアとカレーがチョコの代用?でした。
2度目は、アルファベットチョコでメッセージを贈る話。
3度目の昨年は、兄さん→森永君というシチュをなんとかひねり出して書きました。
そして今年は、他人からのチョコをポイントにして書いてみました。
「伝えるだけでいい」と言う森永君に、さりげなく?「伝え(ようとし)た」兄さんのメッセージ、
皆様にも伝わりましたでしょうか?
チョコをあげる対象を二人のどちらにするかちょっぴり悩みましたが
さすがにあの兄さんに頼む女子はいないんじゃないかと(笑)
というより、大学4年でバレンタインにチョコで告白とか、それを手渡せないとか、どうなのよ? とも
思ったんですけどね。
全体的に中高生っぽい幼な目なバレンタインになってしまった感が否めないな(-_-;)
それでも自分なりに頑張ったので(間に合わなかったけど)これで許してください。


読んで下さってありがとうございました!!
スポンサーサイト



別窓 | 会話作文 | コメント:0 | ∧top | under∨
<<サイレント予約しました | 天使の宝箱 | 3月号買いました★>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

| 天使の宝箱 |