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会話作文~時間切れ
2012-12-31 Mon 00:23
2012年ももうすぐ終わりですね☆

大晦日は仕事なのですが(24H年中無休のとこで働いてます)
ほんの少し時間があったので今年最後の作文を書いてみました。

前回書いた「プライベートノック」のその後のお話です。
前作はクリスマスの夜のお話でしたが
これは時期の限定無く読んでいただいて大丈夫だと思います。

お時間のある方、よろしければどうぞ。

※この作文の内容は漫画「恋する暴君」本編とは全く関係ありません。
二次創作等が苦手な方は読むのをご遠慮くださいね。



コンコンコン。

就寝前の読書を切り上げてそろそろ休もうかと思い始めた時
ドアをノックする音。
こんな時間に何の用事だ?そういや後で部屋に来るとかなんとか言ってたっけ。

『・・・先輩、もう寝ちゃいました?』

ドアの向こうで小さく問いかける声がする。

「いや、起きてた。入れよ」

すみません、と言いながらパジャマ姿の森永がドアを開けて遠慮がちに入ってきた。

「そろそろ寝ようと思ってたとこだけど。で? 何の用だ?」

読んでいた本をサイドデスクに置こうと森永に背を向けながら訊いた。
ほんの、ほんの一瞬だったのに。

「先輩・・・」

振りむく前に、背後から両腕で包みこまれて身動きが取れなくなる。

「お、おい・・・」
「先輩を・・・抱きにきました」
「は?」

突然、不穏な言葉を聞いた気がして思わず訊き返す。

「・・・」
「おま・・、ふざけんなよっ」
「ふざけてません」
「森永!」
「…嫌だったらそう言ってください。部屋に入れてくれたからって返事がOKだとは思ってません。無理やり押し倒したりしないから、安心して」
「出てけって言ったら・・・出ていくのかよ?」
「そうだな・・・部屋に帰ってネットでエッチな画像でも探しますか(笑)」
「な…」
「冗談ですよ。ていうかそれで済ませられるならここに来たりしないでしょ」
「・・・知るか」
「先輩が訊いたくせに」
「・・・」
「本当に先輩じゃないとダメなんです、オレ。・・・信じてもらえないかもしれないけど」

耳のすぐ近くで囁かれる言葉に体が過敏に反応しそうになる。
そんな変化を知ってか知らずか、森永は腕の力を少し強めた。

「オレのこと嫌なら早くそう言って。長く気を持たせるのは・・・酷ですよ」
「そ・・・」

拒否すればいいだけなのに・・・森永の言葉が妙に引っ掛かる。

「・・・別に嫌だなんて思ってねえよ、お前のこと」
「え?」
「嫌じゃねえけど・・・・どうしたらいいのかわかんねえんだよ」
「先輩・・・」
「・・・っ」

森永の腕を振り払うことも、その腕に身を任せることもできない。
どちらの答えもどこかが違うように思えて、そんな自分の曖昧さに苛立ちさえ感じる。
森永の腕の中で身体を固くしていると今度は頭の上から声が降ってきた。
それは労るように優しかった。

「オレはいつも先輩を困らせちゃうね。自分でもわかってる。でも・・・やっぱり先輩に触れたいんです。その気持ちは抑えられない」
「・・・」
「先輩が優しいから、オレは自分の気持ちに正直に行動できるんだと思う。ごめんね、勝手で」
「別に・・・そんな風に思ったことねえけど」
「先輩・・・先輩が選ぶことは全部正しいから・・・どうするのが正しいんだろうなんて考えなくていいんですよ。先輩のしたいようにするのが正しいんです。そうしてもらえるのがオレも一番・・・」
「森永・・・?」
「先輩はいつも自分より他人のことを考えてるから悩むんですよ」

気が付いてないかもしれないけど、と笑ったような吐息が耳にかかる。

「そ・・・」
「これからは、オレのことなんか考えないで自分が一番楽でいられる選択をして下さい。逆にオレは今までよりもっと先輩の気持ちを優先しますから・・・」
「・・・」

楽にいられたらどんなにいいだろうと思う。
それでも、森永との関係においてはどんな選択をしたとしても「楽」になることはないように思えた。
第一、当の相手を目の前にしてその相手のことを考えずに答えを出せるわけがない。

「今日の答えは今日出してほしい・・・もう制限時間いっぱいですよ」

オレの気持ちを優先するとか言ったくせに、せっつきやがって・・・・心の中で悪態をつきながらも一つの答えを出そうとしていた。
今日の答え。

「いいかげん・・・離せ。時間切れだ」

肩に回されていた森永の両腕を静かに解く。

「先輩・・・」

背後からの呼びかけには気付いたけれど、振り向かずに小さくつぶやいた。

「・・・・・・明かりくらい消させろ」

それは消え入りそうに小さな声だったけれど、森永にはしっかり聞こえていたらしい。
部屋の明かりが消えた次の瞬間、もう森永の腕の中に捕まってしまったのだから・・・。

今夜出した答えは、果たして正しかったんだろうか?
いや…自分で出した答えが正しいんだよな?森永の言う通りなら…。
それが、時間切れで絞り出した答えだとしても…。





おしまい



最後まで読んで下さって有難うございましたm(__)m
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