FC2ブログ
 
会話作文~プライベートノック★2012クリスマスアドベントカレンダー企画作品
2012-12-25 Tue 00:00
暴君ファンの皆様、メリークリスマス★★

アドベントカレンダー、堪能されましたでしょうか。
暴君ブロガーの皆様の素敵なクリスマス作品の数々に、萌えて、癒されて、
キュンキュンしながら興奮させられた数日間でありました。

なのに!!!
大トリが私で本当にすみません(ToT)
最後がこんなヘタレで文才のない人間の拙い作文ですみませんっ。

ご存じの方も多いかと思いますが、私・・・イベントやアニバーサリー的な
スペシャルシチュが書けない人間であります。
なので、「え? 何これ? これクリスマスじゃなくてもよくね?」という雰囲気の、
とにかく日常っぽい話になってます。
ウキウキ感は皆無ですので、期待されてたという方はどうかUターンして下さい。
どんなのでも許してやるぜ、という心の広い方のみ、どうぞ。

★冒頭部分のみ、前回の作文「ケーキのお代」からの続きになっています。
でも、この作文だけでも読めますので無理に遡らなくてもいいですよ~。

※この作文の内容は、漫画「恋する暴君」本編とは全く関係ありません。
二次創作等が苦手な方は読むのをご遠慮ください。



掠めるように重ねられた口づけがゆっくりと深いものへと変わるにつれて、考えていた何もかもが宗一の意識の外へと追いやられてゆく。文句のひとつも言いたいところだがそんな余裕はなく、空いている腕で目の前の肩を押し返すのが精一杯だった。

「てめ・・・突然何すんだ」
「だから、口元に付いたチョコを取ってあげようかと」
「なんでお前がとるんだよ? っつか、そーじゃねーだろっ」
「でも、拒否されてないみたいだったから。今だってオレの腕から逃げてないし」
「なっ・・・・・」

言葉通り、気がつけば自分はまだ森永に緩く抱きこまれた態勢のままだった。その言葉さえ近すぎる距離から囁かれている。
羞恥に任せて怒鳴りかけた声を、森永の腕を振り払うことで飲みこむ。
そんな宗一に何をするでもなく、森永は穏やかな笑顔で見つめていた。

「そ、そうだ。お前に・・・渡すものがあったのを思い出した」
「はい?」
「クリスマスとは関係ね―けど、ちょうどいい機会だから・・・」
「なんです?」
「・・・」

返事はせずに、宗一が静かにズボンのポケットから取り出したもの、それは。

「これ・・・先輩の部屋の鍵、ですよね?」
「返す・・・とはちょっと違うか。・・・もう、要らねーと思ってさ」
「え?」
「っつても内鍵はドアに付いたまんまだから特別何が変わるわけでもねーんだけど」

なんとなく言いにくそうな表情を浮かべながら、宗一はその小さな鍵をテーブルの上に置いた。

「せ、先輩? もう要らないってどういうことですか? もしかして・・・いつでも入ってこいとかそういう・・・」
「んなわけあるかっ! 早まった解釈してんじゃねー!」

想像していた通りの森永の反応をすぐさま一喝する。
想像できない訳はなかった。森永がそれを望んでいることは宗一もずっと前からわかっていた。
そう出来るなら、この男がどんなに喜ぶかも理解できているのだが。

「じゃあ・・・?」
「・・・お前は知らなかったと思うけど、ここんとこずっと部屋の鍵はかけないで寝てたんだ。もう一か月くらいにはなる」

宗一の突然の告白。それが何を意味するのか、森永にはすぐにわからなかった。
何をどう訊けばいいのかも思いつかず、宗一の続ける言葉を待つ。

「・・・?」
「お前のことを本当に信じられるか、とか・・・怖がってねーか、とか、考えてた」
「・・・試したんですか、オレのこと?」

軽くショックを受け、それでも表情はできるだけ変えずに問いかける。
もしかしたら声は少し震えてしまったかもしれない。

「・・・」
「・・・」
「そう・・・だな。試してみた」
「やっぱり、まだ・・・」

信じてもらえてなかったんだ、と改めて感じた。確かに信頼をなくすことになったのは自分の愚かな行動のせいだから、と苦い反省をする。
もうすっかり二人の中で消化できていたと思っていたけれど、それは自分に都合よく解釈していただけだったのかもしれないと。
だが、宗一から零れたのは意外な一言だった。

「試したかったのは・・・たぶんオレ自身だ」
「え?」
「オレの気持ちを無視しないと言ったお前を信じているのかどうか、お前を疑う気持ちが少しでも残っていないかどうか・・・確かめてみようと」
「先輩・・・」
「あっさり寝てたよ、自分でもびっくりしたけどな」
「え?」

俯き加減で呟く宗一の表情は見ることができないが、張っていた両肩が徐々に緩んでいく様子が伝わる。

「眠る前は緊張もしたが、あっと言う間に寝ちまった。何日目かには鍵のことなんか忘れてた。・・・知らなかったから当然かもしれねーけど、お前が無断で部屋に入ってくることはなかったし、勝手にドアを開けることもなかった」

告白が続く。
森永の感じるショックは別の種類のものになっていた。
疑いではなく信頼から鍵を開けようと考えてくれた・・・まさか宗一がそんなことを考えてくれるとは森永は想像したことさえなかったのに。

「・・・」
「お前はいつもドアをノックしてオレの返事を待ってくれた・・・鍵がかかってなくてもお前は同じようにするだろうと、今はそう思える」
「前にあんなことしたオレのこと、怖くないんですか?」
「・・・怖くない」
「鍵がかかってないこと知らなかったからだって・・・そうは思わないの?」
「そう思ったら話してねーし、試したりもしねーよ」
「・・・」
「前に、お前のことは怖くも嫌でもねえって言ったけど・・・お前はまだどこかで引きずってんじゃねーかと思ってさ。だから、オレも行動で証明したかったのかもな・・・ちゃんと、拒否してるわけじゃないってことを」

こんな方法しか思いつかなかったけど、と言いながら、テーブルの上の鍵に軽く触れる。カチリ、と鉱物的な小さな音をたてた。

「ただ・・・オレには一人になれる場所が必要らしいってことも分かった。一人になるならないは別にして、その、そーゆー場所があるってことが重要というか・・くそっ、うまく説明できねえ。オレの言ってることわかるか?」
「え? ええまあ、たぶん大体・・・」
「家族以外と暮らして、お前と暮らしてみてそう思ったんだ」
「きっと先輩のテリトリーなんですね」
「・・・かもな」
「わかります」
「もうドアに鍵はかけない・・・今まで通りノックしてくれればいい。答えはその時その時で違うだろうけど、返事だけはするから」
「・・・はい」
「もう一度言っておくが、いつでも自由に入ってこいと言ってるわけじゃねーからな!」
「はいはい(笑)」
「ってことで・・・この鍵はそこの棚にでもしまっておくから」

お前が使うこともないけどな、と呟きながら宗一は鍵を持って立ち上がる。
伝えたかったことを伝えられたからか、宗一の声にはもう先程までのような気負いが感じられなくなっていた。
鍵をかけない、ただその決心のためにどれだけ悩んで覚悟を持って臨んでくれたのか、森永は理解したいと思った。
鍵をかけない、そのこと自体よりもそこに至るまでの宗一の気持ちの方が森永には嬉しいことで。
当の宗一は、自分がどれほど喜んでいるかなんて気づかないだろうけれど。
だから、つい便乗して愛の告白?をしてしまう。

「オレの部屋はノックしないでいきなり入ってきてもいいですよ? オレはいつでもウェルカムです」
テーブル近くまで戻ってきていた宗一は、森永のいきなりの言葉に慌てた。
「なっ・・・ノ、ノックするに決まってんだろ! 親しき仲にも礼儀あり、だ」
「あ、オレたちは親しき仲、なんですね?」
「・・・拡大解釈すんじゃねーって言ってるだろーが!」
「すすす、すみません」
「(-_-メ)」
「お、怒らないでください」
「・・・親しいだろ、普通に考えりゃ。一緒に暮らしてるんだぞ」

親しい、か・・・自分と、この人の考える意味合いは同じではないかもしれない。
それでも、もしかして初めて聞いたかもしれない、宗一の口から出るとは思いもしなかった肯定的な言葉に思わず体の動きが止まってしまった。
驚き。そして・・・喜び。素直に嬉しいと思える。

「3回ノック、だね」
「は?」
「トイレは2回、ビジネスでは4回。で、親しい相手の部屋のドアは3回」
「ああ。欧米のプライベートノックってやつか。ここは日本なんだし回数はどーでも」
「親しき仲にも礼儀あり、でしょ(笑) 先輩の部屋はトイレでもビジネス相手の部屋でもない。親しい、オレのとっても大事な人の部屋ですから」
「お、大げさなんだよ、お前は!」

お前はいつもそうだと宗一はプイっと顔を逸らした。でも、宗一の顔色の変化は森永にはすっかりばれていたことだろう。顔を逸らさずに見ていたら宗一もきっと嬉しくなったに違いない。まるでサプライズのプレゼントを貰ったような、満面の笑顔がそこにあったのだから。

「ところで」
「ん?」
「今夜はノックしてもいいですか?」
「は?」
「用事がある時はノックしろってさっき言ってたじゃないですか」
「言ったけど・・・なんだよ用事って? ここで今言えばいいじゃねーか」
「ここ・・・でも構わないけど、やっぱ部屋の方が・・・」
「?」
「いいや。あとで部屋に伺いますね、要点まとめて」
「? 意味がわからん・・・」
「返事はノックのあとで、ね?」
「・・・おう」

届かないと思っていた
隔てているのはたった一枚のドアだけど
その鍵があくことはないと思っていた
ノックすればドアはいつでも開いたけれど
でも これからは
「どうぞ」と一言 開けさせてくれるかもしれない
開くのを待つのではなく 
開けるのを許してくれるのかもしれない
そのドアに 鍵はもうかからないのだから
ドアに3回 プライベートノック
あなたに問いかける
入ってもいいですか、と

今宵はクリスマス
聖なる夜に 鍵のかかっていないドアをノックするのは
サンタクロースか、それとも・・・


おしまい



繰り返しますが、クリスマスなのに日常のお部屋会話シチュでごめんなさい。
でも最後のご奉公だと思って、どうか許してやって下さい。

最後に、企画から編集作業まで御尽力くださったM様、お疲れ様でした。
こんな作文しか書けない私を誘って下さって本当にありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願い致しますm(__)m


2012年のクリスマスの夜に  

日和 拝
スポンサーサイト



別窓 | 会話作文 | コメント:0 | ∧top | under∨
<<会話作文~時間切れ | 天使の宝箱 | 会話作文~ケーキのお代>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

| 天使の宝箱 |