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会話作文~夏のペンギン
2012-03-18 Sun 21:23
ひさびさの作文ですよ~。
まあ、出来は相変わらずなんですが(-_-;)

いつもの日常ネタより妄想成分多めです。
特別なにがどーということもないですが、それでもよろしければどうぞ。

※この作文の内容は漫画「恋する暴君」本編とは全く関係ありません。
二次創作等が苦手な方はお読みにならないでくださいね。



「お前、ホントに好きなんだな、それ」
コンビニでレジを済ませた森永に宗一が話しかけた。
「え?」
「いや、別にどーでもいいことだけど・・・いつもそのガム買ってるから」
「あ、これですか」
森永の手の中には、たった今買ったばかりの板ガムが一つ。
「新しもの好きのお前にしちゃ珍しいなと思ってたんだ」
「・・・そうですね。好きといえば好きですけど・・・このガムにはちょっと思い出があるんですよ」
「思い出?」
「はい(笑) オレがまだ小さかった頃、小学校に上がる前のことなんですけどね・・・」


暑い夏の日。
母親と幼児という組み合わせの多い公園で、幼い男の子が一人ぐすぐすと泣いていた。
決して大きな泣き声ではないけれど、泣き声に少しだけ敏感な少年がそれに気付き声をかける。
「・・・おい。どうかしたのか?」
優しいとは言い難い、その少年の表情と物言いに男の子はビクッとした。
「・・・ふぇ?」
「さっきからずっと泣いてるけど・・・どうしたんだ?」
柔らかめの声色でもう一度訊いてみる。
「う・・・え・・・え・・・」
「泣いてたらわかんないだろ? 家の人はいっしょじゃないのか?」
「おに・・・ちゃ・・・とはぐれ・・・て・・・」
鼻をすする合間の途切れ途切れの答えだったが、少年にはきちんと理解できた。
「やっぱり迷子か・・・。ここまでどうやって来たんだ?」
「おっきぃいぬ・・・おいか・・・けて・・・きた」
「散歩してる犬についてきちゃったんだな。ならお前の家、この近くだろ?」
「みち・・・わかんない。いつも・・・おにいちゃんといっしょだから・・・」
「・・・この公園で遊んだことあるか?」
「あ・・・る。おに・・・ちゃんときたこと、ある」
「そっか。じゃあやっぱり家は近所だな」

少年の母親らしき女性が心配そうに二人に話しかけ、少年が答える。
「うん。でもこの公園に来たことあるって言うし、お兄ちゃんとはぐれたばかりみたいだからきっと探しに来るよ。ここで待ってる方がいいと思う」
どうやら、交番へ行こうかどうかと話しているらしい。
「大丈夫。この子はオレがみてるから。母さんは巴の相手してあげて。ほら、砂場で遊びたがってるよ」
少年のその言葉に女性は微笑んでうなづき、彼女のもう一人の小さな息子の元に戻っていった。

少年は、まだ泣き顔の男の子を木陰のベンチへ座らせた。
「おうち・・・かえれないの?」
涙声のまま心配そうに少年に尋ねる。
「大丈夫だよ。そのうちお前の兄ちゃんが探しに来てくれるから」
「おにいちゃん・・・みつけてくれる・・・かな」
「ああ、大丈夫」
少年はそう言って安心させようとするが、幼い男の子はすぐに待ち切れなくなってしまう。
「・・・やっぱり、おにいちゃん、きてくれない」
また泣きそうになる男の子に困りながらも、少年は根気よく慰める。
「まだそんなに時間経ってないだろ? お前の兄ちゃんは、今色んなところを探してくれてるんだぞ」
「でも・・・(T_T)」
「ったく」
やれやれ、といった表情で少年は自分のズボンのポケットを探った。
「ほら、これやるよ」
そして男の子の手の平に乗せた。
「・・・なに?」
「ガム。飴とか持ってないんだ。今日みたいに暑いとポケットの中で溶けるから」
「スースーしたにおいがするね」
「小さい子にはちょっと辛いかもしれないけど」
言いながら、少年は男の子が包み紙を剥くのを手伝う。
ガムを口に含んで一口二口噛んだ瞬間・・・
「! ほんとに辛いっ! 鼻の中までスーッとする」
男の子はびっくりしたような声をあげた。
「大丈夫か?」
やっぱり辛すぎたか、と少年は慌てたが、男の子は意外なほどの笑顔を少年に向けて言った。
「・・・でも、おいしい」
「・・・泣きやんだな」
「?」
「ガムの包み紙に描いてある動物、なんだかわかるか?」
包み紙を開いて見せる。
「どうぶつ?・・・あ、ペンギンだ」
「あたり」
「ぼくペンギンだいすき。およぐのがすっごくはやいんだよね?」
「うん。よく知ってるな」
「(*^_^*)」
「ペンギンの親子はお互いの声を覚えていて、群れの中でも声をちゃんと聞きわけてひなはえさをもらうんだ」
「・・・へ?」
少年の言っていることがすぐには理解できなくて、男の子はきょとんとした。
「たまごが孵る前から親子で声を聞かせ合って覚えるんだって」
「へえ・・・すごい」
「ペンギンだってわかるんだから、お前の兄ちゃんもお前のいるところくらいすぐ探し出すさ」
「ぼくのこえ・・・きこえないかも」
「聞こえるよ。聞こえなくても・・・兄ちゃんならわかるって。いつもお前と一緒にいる兄ちゃんなら」
「・・・うん」
「・・・」
迷子であることの不安が減ったらしい男の子は、無邪気な顔で少年に話しかけた。
「おにいちゃん、ペンギンのことよくしってるんだね。ペンギンはかせなの?」
「小学生ならこれくらい誰でも知ってる」
「おにいちゃん、しってるのかな?」
「? ・・・ああ、お前の兄ちゃんのことか。小学生なのか?」
「・・・1年生」
「オレと一緒だ。じゃあきっと知ってる。帰ったら訊いてみればいいよ」
「うん(^◇^)」
男の子が明るく返事をしたので、つられるように少年も優しく笑った。


「それから少しして、その子が言った通り兄さんが探しにきてくれたんですよ」
懐かしいな、という表情で森永は話を続けた。
「へえ」
「兄さん、その子に『兄貴なら弟をしっかり見とけ!』って説教されたらしくて、『お前が迷子になるからだぞ』ってオレも兄さんに怒られました(笑)」
「まったくお前といい巴といい・・・弟ってのは向こう見ずで困る」
「子供の時の話じゃないですか(笑)」
「巴なんて未だに迷子になるけどな(呆)」
「先輩はさすがにないでしょ? 迷子になった思い出とか」
「・・・記憶にない」
「やっぱり(笑)」
「でも迷子の世話ならしたことあるぞ」
「先輩が? 想像できないですね」
「したことあるっつーか、母さんから何度か聞かされたんだよ。ガキの頃に、旅行先で迷子に会った話」
「子供の頃の話ですか」
「小学校低学年くらいとか言ってたっけな。迷子はオレよりもっとガキだったんだと」
「へえ、すごいな。旅行先で迷子の世話ができるなんて、先輩は小さい頃からしっかりしてたんだ」
「単に話の相手してただけらしいけど」
「意外に面倒見良かったんですね、子供時代の先輩って(*^_^*)」
「そんなことねえよ。迷子の世話したのは後にも先にもその時だけだしな」
「先輩にとっても貴重な体験だったんじゃないですか?」
「別に・・・よく覚えてねえし」
「(笑)」
ふと、森永の表情がなにかを思い起こそうとするようなものに変わった。
「・・・迷子になると怖いし周りを心配させちゃいますけど、迷子になったからこそ逢えた人もいるんだなって思うんです。巴くんと黒川さんもきっと同じですよ」
「けっ」
「オレ、その子にもう一度会いたくて・・・兄さんにせがんで何度もあの公園に連れてってもらったんですけど結局その子には会えずじまいで。近所の子だとばかり思ってたけど、たぶんそうじゃなかったんでしょうね」
森永の笑顔の中に一抹の寂しさがうつる。
「・・・」
「その子の顔も声も、話したこともちゃんとは覚えてないんですけど。その子が母親のことを『かあさん』って呼んでたのがすごくかっこよく思えて、まねして『かあさん』って呼び方に変えたりして」
「そんなに珍しい呼び方か? オレもガキの頃から『かあさん』って呼んでたぞ」
「そうなんですか? 「かあさん」って呼ぶ小学生は結構多いんですかね(笑)」
「さあな」
「このガムも当時のオレにはすごく辛かったんですけど、スーッとさわやかな感じがその子の思い出と重なって・・・その子にまた会えた時は今度はオレがあげようって思って買ってたんですけど。いつの間にか習慣になってたみたい(笑)」
ずいぶんませたガキだと宗一は思ったけれど、自分も同じようなものだったなと気付く。
「・・・まあ、美味いけどな。オレもそれ好きだし」
「一枚どうぞ」
「・・・おう」
大人でも辛いと感じることもあるそのガムは、森永の思い出のままの、スーとさわやかな味がした。
「・・・思えば、あれがオレの初恋だったのかも。まだ男とか女とか関係なくて、未文化だった頃の」
「?」
「でも、オレも忘れてたんですけどね。先輩にガムのこと言われるまで長いこと思い出しもしなかった(笑)」
「ガキの頃の記憶なんてそんなもんだろ」
「ですよね(笑)」
初恋ね・・・オレにはそんな思い出はないがな、と宗一は思うのだった。

「・・・そいつ」
今度は宗一が何か思い出したように呟いた。
「はい?」
「迷子のお前の相手したそいつ、もしかしたら動物学者とかになってるかもな」
「は? 動物学者?」
宗一の言わんとしていることが分からずに、森永は言われた言葉を繰り返す。
「お前の話じゃ、そいつは小学1年でペンギンが声を聞き分けることを知ってたんだろ? それは動物にかなり詳しいヤツ、というか動物に興味持ってるヤツだ」
「そういえば・・・後で兄さんに訊いたら、そんなこと知らないって言ってたような?」
「オレのまわりにもいなかったぞ。話通じねえなあと思った覚えがあるし」
「え? 先輩は子供の時にペンギンのこと知ってたんですか?」
「オヤジの影響でな。動物には詳しい方だった」
「ああ、なるほど(笑)」
「だから・・・いつか研究者同士として会うかもしれないし、もう会ってるかもしれないな。お前とそいつ」
「先輩・・・」
「あり得る・・・と思うぞ」
「だとしたら・・・嬉しい」
「・・・」
「顔、全然分かんないけど^^;」
「あ、そーいやそーだな・・・」
「(笑)」
「・・・ガム、もう一枚くれ。味しなくなっちまった」
「はい、どうぞ(*^_^*)」

遠い昔に出会った人ではないけれど
今は こうやって近くでガムを分け合える人がいる
思い出の中の少し辛かったガムの味は
いつのまにか 大切な人との甘い味に変わっていた
ペンギンの親子のように どこにいても たくさんの人の中にいても
お互いを見つけられる
そんな二人に なれたらいい
いつか この人と・・・

おしまい



やっと・・・やっと書き上がりました。
ネタだけはずっと前から生まれてたんですがなかなか書けなくて・・・
書いてもなんだか気に入らなくて。
書き上げたとはいえあまりいい出来ではないのですが、いいかげん完成させる!と覚悟決めました。

皆様、たぶんわかって下さるとは思うのですが、幼い森永君が会ったのは小学生時代の兄さんですよ~!
もちろんぜ~んぶ妄想です。
真崎さんと出逢う前に二人が会ってた、というか、森永君の初恋の相手は実は兄さんでした!
みたいなことがあったらいいなって思いまして(*^_^*)
すみませんっ、兄さん至上主義なものですから(^^ゞ
いつか、二人はこの事実に気づいたりするんでしょうかね~。
気付かないのもまたいいですよね(笑)

読んで下さって有難うございました。
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