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会話作文~錯覚でもいい
2010-12-24 Fri 19:23
クリスマスネタ作文、最後です。
これは一応クリスマスになってると思う、一応は(^^ゞ
甘さは微糖レベルかな?

前回、前々回にUPした作文と特別繋がっている個所はありませんので
単独でお読みいただいても大丈夫だと思います。
昨日の作文よりはかなり長めですのでご注意を。

あくまで妄想であり本編とは全く関係ありません。
二次創作等苦手な方は読むのをお止め下さいね。



24日金曜日。とうに陽は落ちていたがいつもより随分早く大学を出る事が出来た。
クリスマスイブだからということは全く関係なく、実験が順調に進んだだけである。

特に普段と変わらない帰り道。
クリスマスイブだけれど、そんな話は出ない。
パーティーなんかしないと言った宗一も、しなくてもいいと言った森永も、どちらからも。

「さて、じゃあオレ夕食の支度しますね」
「ああ」
家に着くと一息つくこともせずに森永は台所へと向かった。
いつもと同じ平日の夜。
だが、宗一は焦っていた。
森永に用がある、というか渡したいものがあるのに渡すきっかけがどうもつかめない。
(なんだよ森永のやつ。パーティーしないって言ったからって、クリスマスだぞ? お前のことだから絶対になにか用意してると思ったのに・・・。お前からアクション起こしてくれればオレだって・・・)
しかし森永はまるでクリスマスであることを忘れたかのように普段通りだ。
(畜生・・・どうすっかな。このままじゃクリスマスが終わっちまう)
何気なくバッグの中を探ると封筒を見つけた。
(これは・・・)
それは昨日かなこから預かったものだった。
今日、宗一から森永に渡してくれと。
「兄さんはどうせ森永さんにプレゼントなんて用意してないだろうから、これをあげて」と言っていたっけ。
(ばーか、オレだってちゃんと用意してんだよ)
それでも、これはちょうどよいきっかけになるかもしれない。
一緒に渡せばいい、と宗一は決断した。

「森永。これ、かなこからお前にだってよ」
「かなこちゃんから? なんですか?」
森永は手を拭きながら宗一のいるリビングへと戻ってきた。
「これ・・・この間の写真?」
封筒の中身を確認した森永が驚いている。
「ああ。巴やおやじが帰ってきたとき撮ったヤツだ。みんながそろうなんて珍しいからって、かなこが撮りたがったろ?」
「オレと磯貝さんが交代で何枚か撮ったんですよね。オレの写ってるのをわざわざプリントしてくれたんだ」
「渡すのが遅くなったって謝ってた」
「そんな・・・すごく嬉しいです。早くお礼言わなきゃ」
「あ、森永・・・」
かなこに電話しようとする森永を慌てて呼びとめる。
「はい?」
「その・・・写真だけでもなんだからさ・・・」
そう言ってソファの脇にかくしておいた包みを押しつけるように渡した。
「え・・・もしかしてクリスマスプレゼント? オレに?」
「当たり前だろ」
「うそ、ホントに? 開けていいですか?」
「ああ・・・」

「セカンドバッグ?・・・じゃなくて、フォトアルバム、かな? あ、でもスタンドにもなる」
フェイクレザーの落ち着いた風合いのそれは、開くと7枚分の写真が収納できるようになっていた。
「ブックフォルダーフォトフレームとか言うんだそうだ。開いて飾ることもできるし、閉じて本みたいに立てたりしまっておくこともできる」
「すごく・・・かっこいい。先輩が選んでくれたんですよね?」
「まあな・・・」
「ありがとうございます。嬉しい、先輩・・・ホントに」
「・・・お前は友達多いし、オレと違って写真撮ることも多いだろ? だから、こーゆーのもいいかな、と・・・」
「大事にしますから、いや宝物にします!」
「いや、別にそこまでしなくても・・・」

「本当は夕食済ませてから渡そうと思ってたんですけど・・・はい、メリークリスマス」
宗一からのプレゼントを置いて自室からリビングに戻ってきた森永の手にはリボンのかかった包みがあった。
「偶然なんだけど、被っちゃったみたいです」
そう微笑んで差し出されたプレゼント。
「開けてみて下さい」
「あ、ああ・・・」
森永の言う通り、被っていた。
こちらは木製で、美しいダークブラウンのしっかりした作りのものだった。。
「写真立て・・・」
「先輩があんまり写真好きじゃないのは知ってます。でも今は家族と離れて暮らしてるから、写真だけでも飾ったらどうかなって思ったんですよ」
「・・・いい色だな。あれ? このツマミなんだ?」
「オルゴール付なんです、これ。オルゴールの音ってなんとなく癒される気がしません? 音楽に興味ない先輩でもオルゴールなら聴いてもらえるかなって。今回は先輩の欲しいものじゃなくオレのあげたいものを選びました。ごめんね先輩」
「謝んなよ・・・飾るから、ちゃんと。」
「メインは写真立てですから。オルゴールは付属なんであんまり期待しないでくださいね」
「・・・ありがとな」
「はい(*^_^*)」

どの写真を飾ろうかと考えながら宗一は自室の机の上にフォトフレームを置く。
それは、インテリアとしてもシンプルな宗一の部屋によく似合っていた。
「オルゴールか・・・」
少しだけ興味が湧いてツマミを回してみる。
切ないけれどあたたかい、綺麗な曲が流れた。
それほど長くないフレーズが繰り返されるということは、サビの部分なのだろうか。
フレームの後ろに刻印があった。
『 Sign Mr.Children 』

「あれ? 点かないや」
森永のそんな声が聞こえた。
「どーした?」
「トイレの電球切れちゃったみたいです。買い置きなかったな・・・ちょっと買ってきますね」
「いいよ。オレが行く」
「え・・・でも」
「お前、夕飯の支度の途中じゃねーか。コンビニならすぐだし、ついでに煙草買ってくるから」
「じゃあ・・・お願いします。60Wで」
「はいよ」

コンビニで頼まれた電球を探していると、流れていた有線の歌にふと気付いた。
「このメロディ・・・あのオルゴールの」
やはりサビだったのだ。その部分の歌詞に宗一は聴き入ってしまう。
♪ありふれた時間が愛しく思えたら・・・
(あいつ・・・メインは写真立てとか言ってたくせに。何が付属だよ・・・。曲だけじゃ分かんねーだろーが、アホッ)

「ただいま」
「おかえりなさい。ありましたか?」
律儀に玄関まで出迎えた森永は、まだエプロンを着けていた。
「おう。オレが替えるから、お前はやることやってろ」
「すみません」
「だから謝るなって。こんなの、どっちがやってもいいんだよ」
「ですね・・・お願いします」
「ん」
軽く返事をしながら、台所に戻る森永の背中を目で追うのだった。


「パーティーはしないって言われたけど、ちょっとご馳走作るくらいならいいかなと思って作っちゃいました!昨日は洋食だったから今日は中華です。クリスマスですけど別にいいですよね? 巴くん達が贈ってくれたワインともそこそこ合うように作ったんですけど・・・」
「なにがちょっとだ。あの短時間でこれだけ作るのは・・・さてはお前、用意してたな」
「実は下ごしらえは昨日のうちにやっておいたんです」
「パーティーはしなくていいんじゃなかったか?」
「そうなんですけどね」
「全く・・・まあいいか。美味そうだし、冷めないうちに食うぞ」
「はい。じゃあワイン開けますね」

「じゃーん! 先輩、見て下さい」
「ん?」
森永は嬉しそうな顔で、宗一から贈られたフォトフレームを開いて見せた。
7枚飾れる窓のうちの一つに、さっき渡した写真が入れられていた。
「その写真でいいのか?」
「はい。サイズも合ってたし楽しい写真だからすぐ飾ろうと思って」
「・・・」
「一枚一枚、埋まっていくのが楽しみです」
「そうか」
にこにこしながらフレームに収めた写真を見返す森永。
近くにいる人間の写真より飾りたいものもあるだろうに。
いつか自然に飾れるようになればいいと、宗一は心の奥で願わずにはいられなかった。

森永が作った中華料理はワインにも合ってとても美味しかった。
食べて飲んで、そしてもうワインを飲むだけになった頃、宗一は森永に話しかける。
「・・・言いたいことは言えよ。なんでもかんでも全部話せとは言わんが、オレに言いたいことがある時は遠慮しないで言え」
「はい?」
「オレは・・・そーゆーことには疎いと思う。一緒にいても言われないと分からないことがきっと多い」
「・・・」
「お前はため込むところあるだろ? お前が我慢しててもオレは気付かないから、だからちゃんと言えよ。一緒に暮らしてるんだからさ」
「・・・はい」
「・・・よし」
森永の返事に少し安心した。

「ひとつ、訊いてもいいですか?」
「ん?」
「オレが先輩を好きだってこと、分かってくれてますよね?」
「え?」
「分かってるかどうかだけ、教えて。ちゃんと覚えてくれてます?」
「・・・分かってるよ」
「そっか、よかった。分かってくれてればいいや」
「・・・」
訊きたいことは、言いたいことは本当はそれだけではないのだろう。
それでも、まだ応えられない答えを求めて来ない森永の気持ちを宗一は有り難いと思った。

ワインに酔ったせいか体が熱い。
宗一は窓際に近づくと窓を少し開けて夜風を肌に感じた。
12月の夜風はやっぱり冷たい。
「夜景でも見えますか?」
横に立った森永がそう訊いてくる。
「別に・・・屋根しか見えねーよ」
「(笑)」

「先輩・・・」
窓を閉めるのと同時に、森永は後ろから宗一を抱きしめた。
「お、おい、やめ・・・」
「窓際は冷えますよ」
「へ、平気だから・・・よせって」
抱きしめたまま、宗一の耳元で森永が囁く。
「先輩、オレね・・・クリスマスを祝えなくてもいいって思ってたんです。いつもみたいに先輩と一緒にいられて、話したり食事したりできればそれでいいって」
「・・・」
「でも、やっぱり嬉しかった。先輩とプレゼント交換して、こうやって二人だけでクリスマスを過ごせるってすごく幸せで・・・自分でも吃驚するくらい」
「もり・・・」
「幸せすぎて錯覚しそうです。まるで・・・恋人同士みたいだ」
「な・・・」
「錯覚ですから。先輩がオレのこと好きじゃないって、ちゃんと分かってる」
「・・・っ」
「・・・」
「・・・言ったことねーだろ? そんなこと」
「え?」
「お、お前の言うのとは違うかもしんねーけど、オレだってお前のことは、す・・・」
「ん?」
「・・・言わなくても分かるだろ、そんなの」
「分かんない。言わなきゃ分かんないってさっき先輩も言ってたじゃないですか」
「なら、分からんでいい」
「もう・・・」
森永の小さな溜息は笑っているようにも聞こえた。

「オレだってな、色々考えてんだ。お前だけだと・・・思うなよ」
「先輩・・・」
「~~~」
「好きだよ」
「な・・・」
「先輩の分までオレが言うから・・・覚悟してね」
「てめ・・・」
「好き」
宗一の正面に立った森永は、背中と腰に手を回すと顔を傾けて近づける。
「やめろ・・・」
「どうして?」
「外から・・・見える」
「見えないよ・・・ここ4階だし。窓ガラスだってほら、こんなに曇ってる」
「でも・・・」
「誰にも見せたりしない」
「もり・・・」
「先輩・・・メリークリスマス」

宗一が答える前に柔らかい感触が唇に触れた。

  ありふれた時間が愛しく思えたら
  それは愛の仕業と 小さく笑った

コンビニで聴いたあのオルゴールの歌が頭の中で流れ続ける。

  君が見せる仕草 僕に向けられてるsign
  もう何一つ見落とさない

促されるように、宗一は静かに森永のキスを受け入れていた。

  そうやって暮らしていこう
  そんなことを考えている

言い訳も戸惑いも全て包み込むようなそのキスは、限りなく優しく甘かった。
まるで恋人のようだと
宗一さえも錯覚してしまうほどに・・・

    
おしまい



「しそうでしない二人を見てい隊」なのにちゅーさせてしまった。
でもクリスマスだからね・・・これくらいはしないとね(笑)

二人のプレゼントを考えるのが結構楽しかったです。
思ってたより安価なものになってしまいましたが(^^ゞ
少しは甘く出来たかな?

読んで下さって有難うございました。

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