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会話作文~伝わる距離
2010-12-01 Wed 12:23
12月に入っちゃいました。
済ませなきゃいけないことが一気に増える月ですよね(*_*;
毎年毎年同じことを思い言ってる、ダメダメな私です。

来週にはGUSH最新号が発売されますが
plan.4を読んだあと自分がどうなるのか?予想できないので書ける時に書けるものを(^.^)
師走に全く関係ない作文をひとつ。
二次創作等苦手な方は読むのをご遠慮下さいね。

広いお心で読んで下さるという方はどうぞ。


あれは、もう4,5年前のこと。
終日晴れという天気予報は見事に外れ、夕方になると空は厚い雲で覆われ小雨が降り出した。
すっかり暗くなっても雨足は強くなるばかりだった。
宗一はその空を一度見上げると、すぐに自分の手元に視線を落とす。
手に持った傘を開こうとした、その時

「うわっ。結構降ってんなー」
「待っても止みそうもないな、こりゃ」
「傘持ってきてねーのに」
「そーゆー時に限って降るんだよなー」

なにやら楽しげな声が聞こえて、何の気なしに声をする方をちらっと見た。
あれは・・・
名前は分からない。
しょっちゅう自分に話しかけてくる背の高い後輩だ。
校内で会う度に、というか宗一を見つけると必ず駆け寄ってくるので、いつの間にか顔だけは覚えてしまっている。
隣の男はよく彼と一緒にいる学生だ。

二人は宗一に気付くことなく、真っ暗な雨空を見上げて溜息をつく。
「とりあえず走るしかないかー」
「近くのコンビニでビニール傘でも買うか?」
「オレんちに来いよ、山口。少し待っても止まなかったら傘貸すからさ」
「おー、助かる」
「んじゃ行くか」
「おう」
そして二人は、笑いながら雨の中へと駆け出す。

あとには静けさだけが残った。
二人の姿が暗闇に消えた頃、宗一は傘を広げて歩き出す。
聞こえるのは雨の音だけだった。


「降ってきちゃいましたねー」
森永が窓の外を見ながらそう言った。
「先輩、傘あります?」
「いや、今日は持ってきてない」
「オレ持ってきてますから大丈夫ですよ」
じゃあ帰りましょうか、と森永が言い、二人は研究室をあとにする。

雨は一層強く、中庭を色濃く濡らしている。
森永はバッグから折り畳み傘を取り出し静かに開く。
「はい、どうぞ」
後ろに立っていた宗一を振り返り、森永は微笑んだ。
「おう・・・」
そして、隣に並ぶ。

ふと、宗一の脳裏に記憶の断片が蘇る。
あの日、雨の中を笑いながら駆けていった二人。
自分には関係ないと思いながら、その後ろ姿を見送っていた。

あの頃は知らなかった。
こいつが誰なのかも、こいつの気持ちも、そして、オレとこいつが並んで歩くようになることも・・・。
会う度に見せる明るい笑顔と優しい声。
あんなに楽しそうな表情を自分に向けてくる相手はそれまでいなかった。
近づく毎に、すれ違う毎に、こいつが傍に居ることに心地良さを感じるようになっていたのかもしれない。
そして今は・・・・隣にいる。

「・・・先輩?」
無口な宗一を気遣うように森永が顔を覗き込んできた。
すぐ近くから自分を見つめる、大きな瞳。
「どうかしました?」
「・・・お前、そっちの肩濡れてるぞ」
「あ~、折り畳みだからやっぱ小さいですね」
「もうちょっと・・・そっちに持てよ」
そう言うと、傘を持った森永の手を外側に押した。
「それじゃ先輩が濡れちゃいますよ」
「いいから! 傘、お前のなんだし」
「先輩」
それ以上何も言わず、森永は傘を持つのと反対の手を宗一の腰に回して引き寄せた。
「!」
「もう少しくっついて下さい」
「よ、よせって・・・」
宗一は慌てて離れようとするが、回された腕の力が強くて逃げることができない。
「そんな風に暴れると濡れますよ」
「お前が、へ、変なことするから」
「狭いからくっついてって言ってるんです」
「なら、この手を離せ、手を・・・」
「先輩が近づいてくれれば離しますよ(笑) せっかく傘さしてるんだし、濡れないで帰りましょう、ね?」
「う・・・」

観念して宗一が体を近づけると、森永は静かに手を離した。
一歩進むごとに肩が触れ腕がぶつかる。
歩きにくいのに全く嫌じゃない。
そして・・・照れくさいのは何故なんだろう?

いつもよりほんの少し近い距離。
二人は並んで歩き出す。
降り続く雨音よりもずっと近くに聞こえるお互いの息遣いを意識しながら・・・。


おしまい



たまには兄さん側の回想もいいかな~っと思いまして書いてみました。
相合傘って、なんか照れますよね(#^.^#)

読んで下さって有難うございました。
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