FC2ブログ
 
会話作文~何度季節が変わっても
2010-10-22 Fri 21:23
明日は兄さんの日ですね☆
1日早いけど、明日はちょっぴり忙しそうなので
先にお祝いさせてください。

兄さんの日にちなんで作文ひとつ。
先日の『タイトル未定』の続編になります。
(いいかげんタイトル決めなきゃな~(~_~;))
続編といっても前回のラストに続いてるわけではなく、後日の話です。
つまりちゅーの後の話じゃないので・・・期待してた方ごめんなさいっ。
また、暴君本編にはない設定にさせていただいてる箇所が一部ありますので
苦手な方は読むのをご遠慮ください。

暇だから何でもいいぜ、な方だけどーぞ。



「普段着でいいのかな? ちょっとはこぎれいにした方が・・・」
「普段着じゃなくて何着てくって言うんだ? めかしこんでいく方がよっぽどおかしいぞ」
気持ちのいい秋晴れの金曜日、宗一と森永は大学を休んで出かける準備をしていた。

宗一はともかく、森永はわくわくする気持ちを抑えられず落ち着かないまま当日の朝を迎えていた。
それでも普段と変わらない時間に朝食を用意し、宗一を起こす。
朝食を食べながら、森永は昨日から何度も確認していることをまた宗一に質問する。
「先輩、ほんとにオレが行ってもいいんですか?」
「だから、いいって言ってるだろ。何度言えば気が済むんだよ」
「うん・・・だけど、なんか不安で」
「そんなに不安なら別に来なくてもいいぞ」
「い、行きますっ。行きますけど・・・でも」
「優柔不断な奴だな全く・・・どっちでもいいからとりあえず飯食えよ」
森永の箸が進まないのを見て宗一は溜息をついた。

事の起こりは昨日。
「明日は午前中に出かけるところがあるから、朝は一人で行ってくれるか」
「用事ですか?構いませんけど、ずいぶん急ですね」
「かなこの中学の文化祭が明日だったのを忘れててな。さっき確認のメールが来て思い出した」
「ああ、さっきのメール、かなこちゃんからだったんですね」
「あいつも吹奏楽部で演奏するらしいんだ。保護者として見に行ってやらないと」
「かなこちゃん喜びますね、きっと」
実験も一段落したので明日はそんなに忙しくないと思う、と言う宗一に森永は笑顔で頷く。
「かなこちゃんはトロンボーンを吹いてるんでしたっけ? オレも見たいなあ、かなこちゃんの晴れ舞台」
「晴れ舞台って・・・たかだか中学の体育館で発表するだけだぞ?」
「それでも一生懸命練習してきた成果を見せるんですから、やっぱり晴れ舞台ですよ」
「そんなもんか?」
「ええ(^v^)」
まるで自分のことのように喜んでくれている森永を見て、宗一もなんだか嬉しくなる。
「なら・・・来るか?お前も」
「え?」
「保護者だけ入校できることになってるんだが、まあオレと一緒なら大丈夫だろ。親戚とかいとことかってことにすれば」
「・・・他人のオレなんかが行って大丈夫なんですか?」
「松田さんもOKもらってるって言ってたしな。問題ないんじゃねーか」
「・・・」
「まあ・・・無理にとは言わねーけど」
「い、行きたいです。ほんとにいいなら、先輩やかなこちゃんに迷惑かからないならオレも連れて行って下さい」
「ああ、いいよ」
「先輩・・・ありがとう」
「別に・・・礼を言われるほどのことじゃねーよ。ただし、これだけは気をつけろよ」
そう言うと、宗一は中学校内で守るべき掟の説明を続けた。

吹奏楽部の演奏は大きな拍手に包まれて幕が下りた。
演奏を終えて体育館から出て来たかなこが、外で待っていた二人に気付き駆け寄る。
「兄さん!来てくれたんだ!」
「メールまで送ってきたくせになに言ってんだ」
「だって兄さん忙しいから忘れてるかもって思ったんだもん。でもありがとね。それと、もり・・・哲博兄さんも」
「(うわ、兄さん・・・だって)演奏、すごく素敵だったよ。かなこちゃんのトロンボーンもかっこよかった!」
「ほんとに? かなこがどこにいたか分かった?」
「もちろん。一番最初に気がついたよ」
「結構目立ってたぞ。楽器がでかいからな」
「もう、兄さんてば」
ぷくっとふくれてみせても、かなこは終始嬉しそうだった。
「兄さんたちはもう大学に行くの?」
「ああ。やることもあるし、もう行くよ」
「忙しいのに来てくれてありがとう。兄さん、・・・と哲博兄さん♪」
「うん・・・」
「そろそろ行くぞ」
「あ、はい。じゃあね、かなこちゃん」
「気を付けてね~」

そのまま校門へ向かうつもりでいた宗一は、森永の足が止まったのに気付いた。
「どーした?」
「この学校って・・・先輩が通った学校なんですよね?」
「そうだけど・・・?」
校舎の方を向いて森永は独り言のように静かに呟いた。
「なんか・・・中学生の先輩が想像できないな(笑)」
「はあ?」
「ここで勉強したり部活したりしてたんですね・・・。先輩の通ってた頃と変わってます?」
「増改築したところは結構あるみたいだけど・・・校舎はだいたいそのままだな」
「へえ」
「今日は入れる教室もあるけど、なんなら見て行くか?」
「ホントですか? み、見たいです」
「面白いことは何もねーと思うけどな。まあいいか。こっちだ」

体育館で演劇部の舞台が続いているせいか、校舎内に保護者の姿はほとんどなかった。
1、2階にあるいくつかの教室には各学年で決めたらしいテーマに沿った展示物が所狭しと貼られていた。
見学の保護者は展示がされている教室にだけ入ることができる。
「この教室は2年の時使ってた。あんまり変わってない」
教室には誰もおらず、二人だけの会話が静かに響く。
「そうなんだ、ここで・・・。どんな中学生だったんですか?」
「どうって・・・普通だよ。特別なことはなにもしてなかったし」
「その頃は友達とかいたんですか?」
「お前・・・オレを一体何だと思ってんだよ? 友達もいたし、勉強も部活も普通にしてたよ。中学の友達とは今だってそれなりに付き合いあるぞ」
「え?そうなんですか?」
「まあ・・・会ったら挨拶するって程度だけどな」
「先輩らしい(笑)」
「なんだよ?」
「いえ。でもオレは・・・昔の先輩のこと全然知らないんだって思い知らされるな~って思って。大学で逢うまでの20年間の先輩を知らないんだなって。当り前っていうか、しょうがないことですけどね」
笑っていても森永の表情はなんだか寂しげに見える。
「そんなの・・・お前だけじゃねーだろ? 感傷的になるとこじゃねーよ」
「そう・・・ですよね」
「・・・20年なんて過ごしちまえばあっと言う間だ。お前とはもう5年も一緒にいるんだし、残りの15年だってすぐ経つさ」
「え・・・?」
宗一の言葉の意味が一瞬分からず、森永は戸惑った表情を返す。
「それに・・・20年とかお前は言うけどさ、5年間だってこんなに近くにいた奴・・・いねーぞ」
「あ・・・」
「まったく、何年もくっついてきやがって・・・」
まあ、それで助かってる部分もあるけどな、と言いながら宗一は顔を逸らす。
「せん・・・」

その時、保護者らしい人が数名教室に入ってきた。
今までの空気が消えて、時間が動き出したように感じた。
「そろそろ帰るか」
「はい」
廊下に出るとさっきまでの静けさとはうってかわって沢山の人で混み合っていた。
学生の一部が教室への移動を始めたらしい。
ちゃんと後についていたつもりでも、慣れない場所で突然の人混みに飲まれ森永は宗一の姿を見失ってしまった。
(あれ、先輩は? やばい、見えなくなっちゃった・・・)
焦って宗一の姿を探しはじめた、その時
「こっちだ、も・・・、哲博!」
自分の名を呼ぶ声が前方で聞こえた。
人をかきわけながら見慣れた長髪が自分の方へ戻ってくるのが目に入る。
「はぐれるなよ」
「すみません。ちょっと遅れちゃって・・・」
「行くぞ」
そう言うと、宗一は森永の腕・・・ではなくシャツの腕の裾を掴んで歩き出す。
そんな宗一を見て森永は可笑しくなった。
(照れないで手をつなげばいいのに・・・こっちの方が余計照れるよ)
それでも、人混みを抜けても森永はその手を振り解くことができなかった。
この幸せをできるだけ長く感じていたかった・・・。


後日 松田家。

「森永さん、大人気だったよ~。部員のみんなが誰?誰?って騒いで大変だったんだから」
「へ?オレ?」
「なんだそりゃ?」
「背が高くてかっこよくておまけにM大の院生だもん。才色兼備って言うのかな。みんなが騒ぐの無理ないよね」
「才色兼備い?? こいつがか?」
「はは・・・中学生から見たら大学生ってだけで大人に思えるんじゃないかな」
「あら。私みたいなおばさんから見ても森永くんは素敵だと思うわよ」
松田さんが笑いながらそう言った。
「いとこだって言ったらね、紹介してっていう先輩もいたよ」
「ええ??」
「はあ?」
「やっぱり森永さんってモテるんだね(笑) でも付き合ってる人いるみたいって言っといたから安心して」
「え・・・と、それって・・・?」
「ふんっ」
「あ、大丈夫だよ。兄さんのこともかっこいいねって言ってくれた友達もいたから。一人だけどね(笑)」
「要らんわ。ってか大丈夫ってなんだよ」
「それよりも兄さん、周りにあやしまれないために呼び方まで変える必要あったのかなあ。森永さんって呼んでも誰も気がつかなかったと思うけど」
「甘いぞかなこ。保護者ってのはな、細かいとこまでチェックしてるもんなんだよ。いとこを苗字で呼ぶのはおかしいだろ? “森永”って呼んでるのを見て他人だと気付く奴がいないとも限らないからな」
「そうかなあ」
「念には念を、だ。若い男が中学に来るってだけでも目立つかもしれんし」
「確かに目立ってたかも(笑)」
「め、目立ってたかな、オレ?」
「冗談だよ、森永さん。かなこは森永さんが来てくれてすごく嬉しかったけど、でもいいの? あれが兄さんにもらうはずのお礼になるんでしょ?」
「先輩が連れて行ってくれなきゃオレは行けなかったからね。他人なのに無理言って連れていってもらっちゃって、先輩にはもちろんかなこちゃんにも感謝してるんだ。本当にありがとね」
「機会があったら絶対また来てね、哲博兄さん♪」
「うん・・・」
「ところで兄さんは間違えなかった?森永さんの呼び方」
「ばーか。言い出しっぺのオレが失敗してどーする」
「ほんとに? 兄さんが森永さんを名前で呼ぶことってないから、なんか不思議だね(笑)」
「オレよりこいつだよ。先輩先輩呼びやがって。学校内では呼ぶなっつったのに」
「あ、でも人の前では呼んでないと思いますよ。一応気を付けてましたから」
「お前は油断しすぎなんだよ。どっかで聞かれてるかもしれねーだろーが」
とりとめなさそうな議論に、松田さんの天の声が降る。

「それなら普段から名前で呼び合えばいいんじゃないかしら(笑)」

そのあと二人が静かになったことは言うまでもない・・・。


この人を いつか名前で呼べる日がくるのだろうか
この人が オレを名前で呼んでくれる日はくるのだろうか
呼べなくても 呼んでもらえなくても どっちでも構わない
できるなら
年齢-(マイナス)18年が この人と一緒に過ごす年月であってほしい
いつまでも ずっと・・・



おしまい

お疲れ様でした--。
森永くんが家庭教師のお礼に兄さんからもらったもの?は、
“かなこちゃんの舞台を見に中学の文化祭に同行させてもらう”ことでした!
※中学校で文化祭をするかどうか悩みどころだったんですが、
近所の中学校でもやってましたし兄さんの母校を登場させたかったので
無理やりっぽいけど開催させちゃいました。
また、かなこちゃんが吹奏楽部というのももちろん捏造ですよ。
間違っても信じないで下さいね!

名前(=哲博)呼びとかシャツの袖をつまんでひっぱるとか、
ゆる~いなりにも普段兄さんがしないことをさせてみました。
あと森永くんに兄さんの母校を見せてあげたりとかね。
全部妄想ですけど(・・;)
ちなみに私は兄さんの「森永」と森永くんの「先輩」って呼び方が大好きで~す❤

過去はどーにもできないけど、未来はどんな風にもなるよ、森永くん。
ね、兄さん。

読んで下さって有難うございました。
スポンサーサイト



別窓 | 会話作文 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<部屋の中心で4巻への愛を叫ぶ★ | 天使の宝箱 | 会話作文~君を幸せにする方法>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 天使の宝箱 |