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会話作文~どれかひとつと言われても
2010-08-24 Tue 01:00
兄さんの日、でした・・・。

月曜日は忙しくってもうどーもできないから
23日が月曜に当たった時には
行動するのは諦めて心で祝ったり祝わなかったり(ぇ

23日が来ると次のGUSH発売日まであと半月なんですよね~。
早いけど、長いなあ・・・。


兄さんの日だったので作文を。
元ネタ、というか出典がかなり著名でして
更に二次創作では結構使われてる、と思います。
(私もいくつか読んだことあります)
どう肉付けしても、似通ってしまう可能性大なのですが
暴君の二人で一度書いてみたかったんですよ~。
元ネタがどんなに素晴らしくても作文は相変わらず・・・です(T_T)

お許し下さる方のみ、どうぞ。


「痛ッ!!」
キッチンでガラスの割れるような音がしたかと思うと、宗一の呻くような声が聞こえた。
「先輩っ、どうしたんですか?」
自室にいた森永がとんできた。
「大したことねーよ。ちっ、コップ割っちまった。すまん」
「なに言ってんですか。怪我は? 手、見せて」
「え? な、なんでもねえって・・・」

急に右手を掴まれて宗一は驚いた。
森永は手の甲と平を確認してから少し怒ったような顔を宗一に向けた。
「血はそんなに出てないけど指先切れちゃってるじゃないですか。ちゃんと手当しないとだめですよ」
「こんくらい大丈夫だって言ってるだろ。大げさなんだよ、お前は」
「ちょっと待っててください。救急箱持ってきますから」
「だから平気・・・って、おい、森永」
宗一の返事も待たず、森永はリビングの棚から小さな救急箱を持ってきた。

「先輩は面倒くさがってちゃんと手当しないかもしれないから、オレがやります」
手当くらい自分でできると言う宗一の言葉を一蹴し、森永は手際よく指の消毒を済ませ絆創膏を貼る。
「これでOK」
「舐めときゃ治るのに」
「そんなこと言って・・・消毒の時痛そうな顔してたのは誰です?」
「そ、そんな顔した覚えはねーぞ」
「指先の傷って小さくても結構痛いでしょ? 試験管とか器具触る度に違和感感じるかもしれないし。明日も大事な実験があるんですからちゃんと治さなきゃ」
「う・・・」
確かに指先の感覚は微妙なものだ。森永の言う通り絆創膏で保護するくらいはした方がいいのかもしれない。
宗一もそう考えて黙ることにした。

「・・・なんだよ、さっきから」
治療が終わったというのにまだ手を離さずにいる森永を不思議に感じて、訊いた。
「・・・他に怪我したとこないか確認してたんです」
「もうねーよ。いい加減離せ・・・」
「先輩の手って綺麗ですよね、細くて色白で・・・」
「・・・は?」
「指も長いし、爪の色も薄いピンク色だし、すごく・・・」
「?」

静かに、掬い上げられたその手の甲へ森永の唇が触れる。

「ちょっ、何す・・・」
予想もしなかった森永の行為に慌てふためく宗一をよそに、森永は悪戯っぽく微笑んだ。
「そんなに驚かなくてもいいのに(笑) 手の上にするキスは尊敬のキスなんですよ」
「はぁ?」
「先輩、ドイツ語の講義で習ったことない? フランツ・グリルパルツァーの詩」
「し、知らねーけど・・・?」
「そーなんだ」
じゃあ、と言って今度は意味ありげに微笑んだ。

「『手の上なら尊敬のキス』」
そらんじるように呟くと、森永は再び宗一の手の甲に唇を寄せる。

「『額の上なら友情のキス』・・・」
支えるように森永の手が宗一の後頭部へと回された。
引き寄せられるままお互いの距離が近づいたかと思うと、前髪の上から額に唇が触れる。

「『頬の上なら厚情のキス』です」
あっと言う間に柔らかな感触が頬へと降りて、そこにも微かに温もりを残してゆく。
何かを考えるより素早く移動する口づけを、宗一は動揺しながらもどこか不思議な気持ちで受けていた。
森永は更に言葉を続ける。

「『口唇の上なら・・・愛情のキス』」
それまでよりほんの少し強く、そして長く触れてくる口唇・・・それでも普段の強引なキスとは比べ物にならないくらい軽くて・・・優しく感じてしまう。
顔がどんどん熱くなるのが自分でも分かって、宗一の頭の中は混乱し始めた・・・。

「『目の上なら憧憬のキス』」
瞼をおろした顔の近くで小さな吐息を感じたかと思うと、瞼の上にふわりと羽毛のような感触が落され、続いて言葉が降る。

「『掌の上なら懇願のキス』・・・」
森永の気配が遠のくと同時に、宗一の手は胸の高さまで持ち上げられた。
掌の真ん中あたりに受ける感触は初めてで、宗一は余計に敏感に感じてしまう。

「も・・・いい加減にしろ・・・よ」

我慢できなくなり森永を制止しようとしたとたん、今度は半袖シャツから伸びた腕の内側へと口唇が這わされる。
宗一から発せられるはずだった文句は小さな呻き声へと変わり、それは森永の囁きに消されてしまった。

「『腕と首なら欲望の・・・』」
「ちょ・・・やめろって!」
なんとか制止の言葉を絞り出したが、森永の唇は腕を這いあがり、首筋へと移動していた。
移動しながら微かに触れる吐息と口唇がくすぐったくて、逃れようと試みるが腕を掴んだ力は全く緩まない。

「先輩も・・・オレにくれませんか? どれかひとつでいいから」
「え?」
「ひとつだけでいいですから」
「そ・・・」
「先輩・・・」
「・・・っと・・・」
「え? もしかして本当に・・・考えてくれてる、とか?」
「そ、そ、そんなの、選べるわけねーだろ」
「そっか。やっぱり・・・」
「・・・ッ」

「でも、オレは全部あげます。どのキスも全部、オレは先輩に・・・」
「なっ・・・」
「続きも全部」
「続きって・・・まだあんのかよ」
「全部あげるって言ったでしょ」
「も、もういい! お前も・・・十分だろ」
「・・・先輩がオレに何もくれない分、オレは全力であげますから!いままでのも『そのほか』のキスも全部」
「そのほか・・・・?」
宗一は嫌な汗が体を流れていくのを感じた。


翌日、大学にて。
「おう、森永~」
「あ、山口。おつかれー」
「なあなあ、巽さんって彼女いたんだな。驚いたよ」
「へ?か、彼女って?」
「やっぱお前も知らなかったのか。いや、オレさ、偶然見ちゃったんだよね」
「見たって・・・な、何を?(まさか先輩、オレのしらないとこで・・・)」
「講義が終わったあとさ、暑かったんだろうな。巽さん上まで留めてたシャツのボタンを外したんだよ。そしたら・・・」
「そしたら・・・?」
「鎖骨の下あたり、赤い痕でいっぱいでさ。あれは間違いなくキ・ス・マ・ー・クだって!」  
「え?」
「いや~、あの巽さんにそんな相手がいるなんて信じられなかったけど。でも相当情熱的な女に違いないな。あれだけの痕はそう簡単には・・・。だから巽さんも隠してたんだろうけど」
「や、山口! その話、誰かにしたか?」
「ん? そりゃしたよ。ゼミの奴らだけだけどさ。みんな面白がったりビックリしたりで大騒ぎだったんだぜ(笑)」
(やばい・・・そんな噂が先輩の耳に入ったら・・・)
「森永? どーした? 何か顔色悪いぞ」
「山口・・・オレ、近いうち死ぬかも・・・」
「え? おい、大丈夫か? 森永、森永・・・」

すでに森永に山口の声は聞こえなくなっていた。
夢のような昨夜の代償を予感して、森永の視界はぐらりと揺れた。

続きがあると、迫るように囁いたその言葉は・・・

「『そのほかは、みな狂気の沙汰』なんですよ・・・先輩」


宗一に全部をあげると言った森永
でも彼は分かっていなかった
宗一がひとつのキスも彼にあげなかったのは
そのひとつを選ぶことができなかっただけなのだということを
お互い同じように思っていることに
二人は一体いつ気付くのだろうか・・・


おしまい


読んで下さってありがとうございました。
(※フランツ・グリルパルツァー「接吻」より)
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この記事のコメント
お久し振りです リズです

甘いストーリーで 読んでて楽しかったです!
キスするたびに 真っ赤になっていく兄さんが
思い浮かびますw
詩になぞらえて キスする森永君は
どこか 艶めいてますよねv
それと 最後の余韻となる10行ぐらいの文が 
素敵だなぁと 思います
兄さんも 1つに決められなかったということに
自覚を持って欲しいような 欲しくない様な・・・・
微妙な心境ですヨ

これからの更新も 楽しみに待ってます
では^^
2010-08-24 Tue 17:33 | URL | リズ #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
リズ様

グリルパルツァーの詩のキスは、その全てが
森永くんの想いに当てはまってる気がします。
尊敬も憧れも懇願も・・・
まあ、森永くん本人はどんな意味でも良くて
キスしたいだけなのかもしれませんが(笑)

兄さんも、森永くんのことを特別な存在だと思ってますよね。
まだキス全部に重なるとは言えないけど、
色々な気持ちを持ち始めてるんじゃないかな。
その気持ちにいつかは気が付いてほしいけど、
もう少し先でもいいような、私もそんな気持ちです♪

読んで下さって有難うございましたー。


2010-08-24 Tue 22:15 | URL | 日和 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
リクエスト
こんばんは。
拍手しておきながらこちらでも失礼します。

SSも大好きですが・・・実は・・・暴ラジとか
チャレ座談会とか続編はないでしょうか?
あのノリがとても楽しいです♪

ささやかなリクエストでした。
2010-08-26 Thu 19:18 | URL | まち #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
Re: き、恐縮です
まち様

まさかリクエストいただくことがあるなんて、驚きましたー。
でも有難うございます。嬉しいですっ♪

実は暴ラジは夏期に一本書きたいと思ってはいたんです。
二人のBD記念ということで・・・・。
でも予想外に多忙だったのと、ネタが絞れなくて
結局書けませんでした。
ご期待に応えられるようなものは難しいかもしれませんが
時間ができたら前向きに考えてみます。

座談会はテーマが思いつきさえすれば
さらさら書けるんですけどそのテーマがなかなか・・・。
でもリクエストいただいてちょっと燃えてきました(笑)
稚拙なネタでよろしければ頑張ってみますね!

何時頃UP出来るかは未定ですが、
UPした際には是非また読みにいらして下さいね。
有難うございましたー!
2010-08-26 Thu 20:26 | URL | 日和 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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