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会話作文~うちにニャンコがやってきた(後編)
2010-08-19 Thu 02:23
後編です。

まとまりないけど無理やり完結!
もう少し猫くんを活躍させたかったんですけど、できなかった~。

いつも通り色っぽい描写やキュンキュンするシーンはありません。
会話メインなのに結構長くなっちゃいました(~_~;)

それでもいいよ、な方はどうぞ。



「先輩、先輩っ。ありましたよ貼り紙!」
「ん?」
「そこのコンビニで見つけました」
これです、と言って森永は折られた一枚の紙を開いて見せた。
綺麗な猫の写真の下にその猫の特徴と連絡先が書かれている。
「ああ。そいつの家分かったのか」
「やっぱり探してたんですね~、飼い主さん。それにしても隣町だなんて・・・宗くんも随分遠くまで来ちゃったんだね」
ソファでくつろぐ猫に森永はそう話しかけた。

「で? 飼い主にはもう連絡したのか?」
「はい、それは」
たまたま入ったコンビニで貼り紙を見つけたのだという。
何時でも構わないから連絡を、というメッセージから飼い主が本気で心配していると森永は判断したらしい。
既に午後9時近い時刻だったがためらうことなく相手の携帯番号に連絡を入れた。
飼い主は隣町在住のOLだった。
こっちの都合さえよければすぐにでも迎えに来たいと言っていたそうだが、さすがに今日は時間も遅いので明日の夜に引き取りに来ることが決まった。

「見つかってよかったな」
「はい」
「明日か・・・実験も一段落したところだし、その時刻なら帰って来られるだろ」
「先輩も一緒に・・・その、立ち会ってくれます?」
「? そのつもりだけど、なんかあんのか?」
「いや・・・一人で見送ったら、オレ切なくなっちゃいそうで」
「はぁ?」
「でも先輩が一緒にいてくれれば大丈夫だと思います。明日は絶対一緒に帰って下さいね、先輩」
「・・・ああ」
「よかった」
「・・・」

たかだか一週間とはいえ毎日続けていると慣れてしまうもので、オレはすっかり狭い範囲内で眠ることが上手くなっていた。
「最後ですね・・・」
「ああ」
「宗くん、オレたちと一緒に寝るの、これが最後だよ」
そいつは柔らかい小さい声で「にゃ~」と鳴いた。

起きている時は聡明な感じのする猫だが、眠る前はだいたいこんな風にふにゃふにゃな態度になる。
表情はもちろん、体の力が抜けててろんてろんの毛皮みたいだ。
その様子を森永は妙に気に入って、かわいいかわいいと毎晩のように撫でていた。
こねくりまわされてこいつもさぞかし迷惑だろうと思ったが、森永の嬉しそうな顔を見ると余計なことは言えなくなった。
そしてひとしきり撫でて満足すると今度はオレの手を握ってくる。
握られる前に眠ってしまえと毎回思うのだが、一日も叶うこと無く結局毎日手を繋がれて眠った。
朝までその手は離されることなく、毎日・・・。
まるでオレもそうされることを望んでいると森永に誤解されそうな、そんな一週間だった。

「ん?どした、宗くん?」
今までと同じように川の字で横になっていたら、そいつはもぞもぞと動き出し掛け布団の奥へ潜ったかと思うとオレたちの足元の方に移動した。
森永が上半身を起して確認すると、どうやらオレたち二人の足の間で、掛け布団に埋もれたまま眠っているようだ。
「なんだ?」
「さぁ・・・ちょっと寒いのかな?」
足元でもオレたちの間にいることには変わりない。
オレも森永もそいつを蹴らないように気を付けて寝なければいけなくなった。
いつもより窮屈だ、まったく!!

「最後だから気を遣ってくれたのかも」
「? 何の話だ?」
「オレ、宗くんに文句言ったことあるんですよ。宗くんが間に寝るから先輩にキスもできないって」
「なっ・・・」
「せっかく先輩と同じベッドにいるのに、宗くんのせいだって」
「おま・・・バ、バカじゃねーの? 猫にそ、そ、そんなこと言ったって分かるわけな・・・」
「そうなんですけどね~」

何言い出すんだこいつはっ。
つーか、猫がいてもいなくてもお前に何かされる気なんてオレにはねーんだよ!
反論しながらも自分の顔が熱くなるのが分かった。
・・・夜でよかった。暗いから隣にいる森永にもばれてない・・・はず。
 
「あれっ?」
「え?」
森永が急に不思議そうな声を出した。
つられてオレは森永の方を振り返った・・・。

耳元に軽く手が添えられたかと思うと、唇に柔らかい何かが触れる。
でもその感触はすぐに離れて消えた。
何が起こったのか分からないくらいの短さで・・・でも何が起こったのかはもちろん分かった。
「・・・てめっ・・・」
「おやすみの挨拶です❤」
「そんなのは言葉で言えよっ」
「最後だから・・・ね、先輩」
「・・・最後なのは、そいつだろーが」
「うん、だから・・・もう文句ないってこと宗くんに証明しようかと思って」
「はあ?」
すると足元で「にゃぅ」と小さい鳴き声が聞こえた。
寝言なのか、森永の言葉への返事なのか、それとも言い合いを始めそうなオレたちを諌めようとしたのか・・・わからないが。
「先輩・・・今夜は真ん中に宗くんいないんですから早く寝た方がいいですよ」
「どーゆー意味だよ?」
「どーゆー意味でしょう?(笑)」
「~~~」
くすくす笑う森永に腹が立つ。
ベッドから飛び出たい衝動に駆られたが、その時にはもうオレの手は森永に繋がれてしまっていた。
暴れると猫が起きちまうかも・・・そう思うと動けない。
もう寝る。森永の声も体温も何も感じない。オレはもう寝たんだ。
「おやすみなさい、先輩」
昨日までより少し近い距離で森永の声がした。でもオレは寝たから返事はしないっ。
おやすみの・・・挨拶だからか。
いつもより随分と軽い・・・ふとそんなことを考えている自分に気が付き驚いた。
何考えてんだ、さっさと寝なきゃ・・・唇に残る感触を忘れるようにぎゅっと目を瞑った。


次の日の夜、飼い主は約束の時間通りにアパートを訪ねてきた。
「ソウタ! もう~心配したんだよ!」
「え?」
オレと森永は顔を見合わせた。多分、同じワードに引っかかったんだと思う。
「その子の名前・・・」
「あ、ソウタっていうんです。男の子らしい名前にしたくて。付けたの私なんですよ」
飼い主の女性は猫を抱きしめて、満面の笑顔でそう答えた。
嬉しそうだった。心配で夜も眠れなかったそうだ。
愛猫を無事に見つけることができて安心したのか、少し涙ぐんでいた。
猫も飼い主の言葉に呼応するように「にゃう~ん」と一声、綺麗な声で鳴いた。
「見つけていただいただけでなく何日も世話していただいて・・・本当にありがとうございました。なんとお礼を言ったらいいのか・・・」
飼い主が何度も頭を下げるのでオレたちも恐縮してしまう。
ちゃんと迎えに来てもらえてよかったね、と森永が猫の頭を撫でながら言った。

「宗く・・・じゃなくてソウタくんは、おうちでは飼い主さんと一緒に寝てるんですか?」
森永が別れ際に飼い主にそう訊いた。
「いいえ。専用の猫のベッドがありますから、この子はそこで寝てます」
何故そんなことを? と女性は一瞬不思議そうな顔をしたが、森永の続けた言葉は別れの挨拶だった。
「利口でとってもいい子ですよね。オレたちも一緒に過ごせて楽しかったです、ホントに。・・・元気でね、ソウタくん」
飼い主の胸に抱かれていたけれど、そいつは森永の方に向き直り綺麗な通る声で「にゃうにゃう」と鳴いた。
感謝にも、返事にも、「もりなが」と言ったようにも聞こえる鳴き声を残して、そいつは自分の家へと帰っていった。


「・・・宗くん、帰っちゃいましたね」
「そうだな」
あいつのために用意したトイレを片づけながら森永が呟くように言った。
「かわいかったな、宗くん・・・」
「ああ」
すっかり元気をなくした森永に何か言葉をかけようと思うものの上手い言葉が出てこない。
「大学から帰って来ても、もういないんですね」
「・・・寂しいのか?」
「寂しい・・・のかな? どーなんだろ。よく分かんないや」
「・・・」
「たった一週間だったのに・・・こんなに情がわくとは思いませんでしたよ」
「森永・・・」
「オレたちのこと、すぐ忘れちゃうかな」
「さあな・・・」
「あ~、でもまた旅に出たりすると飼い主さんも困るし、家出中のことは忘れた方がいいのかもしれませんね」
「・・・オレたちが憶えてりゃいいさ」
「え?」
「猫の記憶力がどんなもんかオレには分からんが・・・お前があいつのことを忘れたくないなら憶えてればいい。思い出話くらいならオレが付き合ってやるから」
「先輩・・・」
「お、お前があいつに変な名前付けたせいで忘れたくても忘れられねーんだよ、ったく」
「『宗くん』って名前にすぐ馴染んだのは本名のソウタくんに似てたからだったんですね。すっごい偶然で驚きましたよ」
「・・・ふんっ」
「ふんって・・・先輩も宗くんと仲良かったじゃないですか。オレといるより・・・なんか楽しそうだったし」
「はあ?」
「くっついて一緒に本読んだりとか(妬)」
「じゃれてただけだろ・・・猫相手に何言ってんだ」
「宗くん、絶対先輩のこと大好きでしたよ。オレと同じ❤」
「バッ・・・それは、お前の方だろ。あいつが懐いてたのはお前で・・・。寝るとこだって、お、お前のベッドだったし」
「あれ? 先輩、自分のベッドで寝て欲しかったの?」
「え? あ、いや、そーじゃねーけど」
「オレは先輩の部屋で一緒に寝たかったな~。宗くんがいたら先輩もきっと許してく・・・」
「黙れっ!!!」
あいつの話をしていたらだんだん森永の表情が柔らかくなった。
ほっとした。森永が元気ねーとオレも調子が出ない気がするから。
「宗くん、飼い主さんとは一緒に寝てないって言ってましたね・・・」
「? ああ、そうだってな」
森永はまた少し何か考えるような、思い出すような顔をした。
「・・・なんでオレたちと一緒に寝たがったんだろ?」
「さあ・・・心細かったんじゃねーの? 自分のうちじゃない訳だし」
「そっか・・・」
「?」
「オレにとっては、宗くんは恋のキューピットみたいな存在でしたよ」
「は?」
「宗くんがいたから先輩も・・・」
「な、なんだよ?」
「い~え、別に」
森永は微笑んで言葉を濁した。

「・・・そんなに可愛かったなら、飼ってもいいんだぞ、猫」
まだ未練のあるような森永の様子が気になって、オレはひとつ提案してみた。
「え? ホントですか?」
「ああ。世話は全部お前がやるっていうなら」
「嬉しいけど・・・今はまだいいです。宗くんと過ごして、もっともっと一緒にいたいと思ったから、もう少し時間に余裕ができるまでペット飼うのはやめときます」
「そうか?」
「うん・・・でも、いつか飼ってもいいですか? 宗くんみたいな猫を」
「いいけど・・・あいつは相当出来のいい猫なんじゃねーか? 見た目もおつむもさ。あんな猫そうそういな・・・」
「名前は『宗くん』で決まりですね!」
「はぁ? そんなん却下に決まってんだろ」
「嫌です。これだけはいくら先輩でも譲れません!」
「じ、じゃあ・・・雌猫にする! 雌にその名前は付けられねーだろ」
「別に気にしませんよ。『宗子』でも『宗美』でもいいんだから。最近は女の子を男の子っぽく呼ぶのも流行ってますしね」
あー言えばこー言う。こいつは変なところが頑固で困る。
「・・・っ。な、なら『てつひろ』にするぞ! どーだ? 自分の名前で呼ばれるのはやだってわかっ・・・」
「せ、先輩が呼んでくれるんですか? てつひろって・・・」
「へ?」
「オレは全然異論ないです。『てつひろ』でいいです。先輩が毎日オレの名前呼んでくれるなんて・・・・❤」
「や、やっぱりそれも却下だ却下!」
「え~」

いつかうちに来るかもしれない猫の話をしながらも、その猫の姿は自然にあいつに重なってしまう。
猫を飼ってもいいと森永に言ってはみたけれど、今あいつ以外の猫を飼う気になれないのはオレの方かもしれない。
たかだか一週間でこんなに絆されちまったなんて・・・森永にも言えやしない。

そしてオレはすっかり油断していたらしい。
まだ会話が続いていると思っていた・・・。
「先輩」
気が付くとオレは森永に抱き締められていた。
腰と背中にまわされた腕は身動きすることを許さないほど強く体を締め付けてくる。
「・・・やめ」
「やめません」
「もり・・・」
「もう宗くんはいないでしょ」
「・・・は?」
「先輩が言ったんですよ。宗くんが見てるからやだって」
「それ・・・は・・・」
「好きですよ、先輩」
オレが反論する前に、いや、オレの言葉は聞く気がないとでもいうように、あっという間に奪われた。
それは昨夜とはまるで違う、強引で深いものだった。
おやすみの挨拶ではなく、眠らせないという合図なのだとオレは悟る。

やっぱり猫がいた方が安全か?
ぼうっとする意識の奥でそんなことを考えた気もするが、いつの間にかそれも分からなくなっていた・・・。


おしまい



猫がいてもいなくても、二人にはいちゃらぶ生活を送ってほしいですね❤
7章では森永くんに就職という新たな選択肢が出てきて、正直私は不安で眠れませんっ。
二人が離れるかも?、なんて可能性は考えてなかったので。
今後の展開次第ですが、とりあえず私は「二人はずーっと一緒がいい」と考えてるので、
その気持ちも作文にちょこっと入れてみました。
届け、この思い!!



読んで下さってありがとうございました。
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この記事のコメント
こんにちわ リズです

いやぁ~ 何かほのぼのとしてて
面白かったですっ!
宗クンの本名が”ソウタ”だということに驚きました!!!!

最後まで兄さんが自分の名前を嫌がるところには
笑えましたwwww
2人がペットを飼ったとしたら
ワタシ的には名前は てつひろ に賛成しますv

これからの更新も待ってます☆

では^^
2010-08-19 Thu 13:11 | URL | リズ #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
リズ様

会話作文の感想コメントありがとうございます♪

宗くんの本名は「そうくん」のままだとつまらないので
ちょっと変えてみました。
ソウタロウとかソウジロウとか色々考えましたよ(笑)

兄さんは超照れ屋ですから、ペットに自分の名前が付けられるのは
本気で阻止すると思います。
森永くんに呼ばれるから余計に恥ずかしいっていうのもあるのかも。
でも呼び続けてたらすぐに慣れてくれそうな気もしますね。
自分では絶対呼ばないでしょうけど(笑)
作文中でも結局兄さんは宗くんのこと「そいつ」「こいつ」としか
呼べませんでしたが、それも兄さんらしいですよね。

また遊びにいらして下さいね~お待ちしてます♪
2010-08-19 Thu 19:18 | URL | 日和 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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