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会話作文~1年に1度きり(七夕妄想)
2010-07-07 Wed 02:23
笹の葉さらさら~
七夕ですね。
・・・梅雨の真っ只中なのでお星様は見られそうにありませんが。

七夕ネタ?で作文。
相変わらず糖分少なめですが
よろしければどうぞ。



「夜には晴れるって予報だったのに、全然そんな感じに見えないな~」
山口が研究室の窓から外を見て嘆く。
「せっかく七夕に合わせた飲み会だったのに・・・あんまり盛り上がんねーかも」

今日は7月7日。七夕祭り。
しかし、すっかり梅雨前線に包まれてしまった名古屋の空に天の川は見えなかった。

「森永、ほんとに来ねーのか?」
「今日はもう少しやっときたいことあるし。それに先輩の実験もまだ・・・」
飲み会の誘いに来てくれた山口には申し訳ないけれど、森永の優先順位は変わらない。
実験に家事に・・もちろん一番は宗一。
「オレの手伝いは気にしなくていいぞ。たまには行ったらどうだ?」
森永の気持ちをよそに、宗一は顕微鏡から目を離さずに言った。
「ほらほら。巽先輩もこう言ってくれてるしさあ」
「ん・・・でも本当に今日中に済ませたいんだ。悪いな、山口」
「・・・なら、しょうが無いけど。今度は絶対来いよ」
「ああ」
同じ研究者だからこそ森永の都合もわかるというもの。
山口は無理強いせずに笑顔で返した。

「それにしても、この天気じゃ織姫と彦星は会えそうもないな」
「(笑) 今日はずいぶんとメルヘンチックだな」
山口の口からこんな台詞を聞くのは珍しい。
きっと今日の飲み会に気になる女の子でも来るのだろう。
談笑する二人に、お堅い先輩から一言飛んできた。
「天の川は遙か銀河の彼方だぞ。雨なんか降ってるわけねーだろ」
「巽先輩、ホント夢がないっすね・・・」
「先輩はリアリストだからさ、気にするなよ」
容赦ない言われように凹む友人を森永は苦笑しながら慰める。

「だったら・・・巽先輩ならどーです? もし森永と1年に1回しか会えないとしたらどーします?」
山口の突然の問いかけに二人の手が止まった。
「は?」
「オ、オレ?」
イタズラをしかけた子供のような顔をして宗一の返事を待つ山口。
引き合いに出されて驚く森永。
問われた当の宗一はというと。
あっさり一蹴するだろうと思っていた。森永も、けしかけた山口も。
一瞬間が空き、顕微鏡から外した視線をまっすぐ森永に向けたかと思うと、その顔を見つめたまま呟いた。

「・・・それは、ちょっと・・・」
「・・・先輩?」

時間が停止した二人の横で、山口が自分の勝利を確信したように楽しげな声をあげた。
「ですよね? 森永が1年に1度しか手伝ってくれないとしたら困りますよね」
はっと我に返った宗一は慌てて顕微鏡を覗きなおす。
(ちょっとって・・・それ、どういう意味、先輩?)
真意を聞きたい、でもそれができない森永は宗一の背中に心の中で問いかける。
(1年に1回しか会えないとしたら、少しは寂しいって思ってくれるのかな・・・)

「じゃあオレはもう行くから。実験頑張れよ」
「ああ。お疲れ」
少しそわそわした様子で山口は研究室から出て行った。

大学を出る頃にはすっかり雨は止んでいた。
「しかし、山口って変なやつだな」
「(笑) 別に変じゃないですよ。どっちかっていうと先輩の方が変わってますって」
「人を変人みたいに言うな」
(いや、実際そうだから・・・って、やっぱこの人自覚ないのか^^;)

「年に1度だけ・・・か」
思い出したように宗一が呟いた。
「ああ、さっきの山口のアレですか。やっぱりオレが1年に1回しか手伝わなかったら困りますよね(笑)」
「・・・そーゆーことじゃ・・・」
「はい?」
「困る・・・とかじゃなくて」
「?」
「こ、困るとは言ってねーだろ」
「あ・・・困らないですか? そっか・・・(凹)」
「だからっ、違うって」
「・・・なにがですか・・・(落ち込み~~)」
すっかり元気をなくした森永に、たどたどしい口調で宗一は言葉を続けた。
「・・・嫌・・・だと思ったんだよ・・・」
「え?」
「年に1度は嫌だって・・・そーゆーことだ。分かったか」
「分かりましたけど・・・ええぇ? それはあの、どーゆー・・・」
「どーもこーもねぇ!オレもよく分からん。とにかくそんだけだ。それでいいな」
「ちょちょ、ちょっと先輩。オレまだよく分かってないんですけど・・・」
「オレも分からんと言っとるだろーが。しつこいっ」
意味が分からないと言いながら、森永の声はどんどん元気になっていく。
「もしかして先輩・・・少し寂しいって思ってくれたんじゃないですか??」
「は?」
「だって・・・年に1度が嫌だなんて。オレともっと一緒にいたいって、そーゆーことですよね?」
「!!」
自覚していなかった、いや、なんとなくは分かっていたのかもしれない。
あやふやだった自分の気持ちを相手にはっきり指摘されて宗一はとまどった。
「オレは絶対無理ですけど・・・年に1度しか先輩に会えなかったらたぶんオレ死にますよ」
「え?」
「それでも・・・もし、どーしても1年に1度しか会えないとしたら」
「?」
「・・・絶対忘れられない日にします!」
「はぁ?」
「次の年まで1年間、先輩がオレを忘れられないように。1年間ずっとオレのことを思い出してくれるくらい・・・」
「なっ・・・・」
「先輩、顔まっか・・・」
「ううう、うるさい。お前なんかもう知らん。年1どころか二度と会わんでもいいわ」
「はいぃ?」
「天の川でも銀河系でもどこでも行っちまえ!」
「な、なんで~? 先輩ってば~」

1年に1度しか会えないのは嫌だ
そして、宗一はいつか気が付くのだろうか
1年に1度だけ会えない日があるのも嫌だ という自分の気持ちに 

おしまい


読んで下さって有難うございましたー。
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