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会話作文~いつも君の傍に
2009-12-16 Wed 02:06
ありがちなネタですが
同居中の森永くん、風邪で沈没



いつも君の傍に
 


冷たい、けれどどこか覚えのあるその温もり。
額に感じるリアルな感覚に促され、森永はゆっくりと目を覚ました。
その視界に映ったのは細い指先。

「・・・・・・先輩・・・・・・?」

「悪い、起こしたか」
「いえ・・・、今何時です?」
「そろそろ4時だ」
「もうそんな? すいません、今日は先輩の手伝いできなくて」
「気にするな。今はそんなに忙しくないから。それより具合はどうなんだ?」
「まだ少しだるいけど、でも熱は随分下がったみたいです」
「そうか」

そう言って宗一はもう一度森永の額に手をのせた。

「・・・先輩の手、冷たいですね」
「ああ、外は寒かったからな」

森永はその手の温度を確かめるかのように目を閉じた。

「・・・冷たくて・・・気持ちいい」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・そういえば」
「え?」
「前にもあったよな、お前が寝込んだこと」
「あ・・・、そう・・・ですね」

それは忘れもしない去年の春。
森永は今と同じように風邪で倒れた。
熱による勢いで宗一に告白し、カミングアウトまでした・・・。

少しだけ宗一の指先が震えて、その手は額から離れた。

「そうだ、夕飯・・・」
「! 病人のくせに何言ってる。まだだるいんだろ? もう少し休んでろ」
「でも、先輩、夕飯は・・・」
「どこかで適当にすませる。余計な心配しなくていい」
「・・・すいません」
「それよりお前だ。何か食えそうか? かゆとか」
「・・・んー、今はまだ。ってか先輩、おかゆなんて作れないでしょ(笑)」
「それはそうだが・・・。じゃあ、帰りに果物でも買ってくるか」
「帰りって・・・、あ、先輩また学校に戻るんですか」
「ああ、ちょっとな」
「缶詰でいいですから。桃缶とか」
「おう」

少しだけ安堵した表情で宗一はドアの向こうへ消えて行った。
普段めったに見られない宗一の柔らかい瞳を見たような気がして、森永の気持ちは熱くなる。

(心配して帰って来てくれたのかな・・・ だったら・・・嬉しい・・・)

人の気配が失われた部屋は、元々なかった時よりも寂しく感じる。
宗一との会話で気が休まり、けれど喋ることで疲労したのか
森永はすぐに訪れた睡魔に逆らうことなく目を閉じた。

どのくらい経ったろう。
森永はなにかの気配を感じて目を覚ました。

(先輩?)

薄暗くなった部屋の中。
ベッドに背中を預けた形で、森永の足元の傍らに宗一は座っていた。
膝の上に宗一の愛読書が見えるが、手は止まっているようだった。
うつむき加減のその顔は見えない。
けれど少しだけ聞こえてくる静かな寝息。

(いつからここに・・・いてくれたんだろう・・・)

宗一を抱きしめたい気持ちでいっぱいになる。
が、森永は宗一に触れて起こしてしまわないよう体をずらした。

(もうすこしだけ・・・このまま・・・)

愛しくてたまらない人がそばにいてくれる。
ただ近くにいてくれることがこんなにも嬉しい。
森永は溢れそうになる気持ちを押さえて布団を被りなおす。
また熱が上がった気がした。
布団越しでもその人の体温を感じながら眠りにつきたい、そう願う。
だが今度は、睡魔はしばらく訪れてくれそうにない。




せんせい、文才が欲しいです(苦笑)
兄さんは学校に戻りはしたけど、森永くんが心配であっという間に帰ってきたんだと思います。
じゃないと・・・時間の経過が(ゲホゲホッ)
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