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会話作文~逢魔が時
2010-06-23 Wed 12:23

毎月おなじみ、兄さんの日ですね。
今月は水曜で良かった~。
曜日によっては記事を書く余裕がない場合もあるので、良かった。

ということで作文。
今回の作文は 創作要素が多く なってます。
一応キャラも設定も守って書いたつもりですが
それでも 創作アリ なので、苦手な方は読むのをご遠慮ください。



「あ・・・れ?」
気がついたのはアパートの階段の踊り場だった。なんだか頭がズキズキする。
大学からの帰り道に降り始めた雨は今も降り続いていた。
そうだ。
たしか雨で濡れた階段で滑って落ちたんだっけ・・・それで気を失ってたのか。
なにやってんだか、と体を起こそうとした時だった。
(ん? なんか・・・)
階段が妙にデカく見えるのはなんでだ?
・・・違う。変なのは階段じゃなくて・・・と自分の体の異変に気付く。
体は毛だらけ。なぜか二本足で立てない。おまけに長い尻尾まで・・・。
オレ・・・
ね、ね、ねこになってるーーー???
体中どこをみても間違いなく黒猫。これ・・・オレ?
え~っ?? にゃんで? 夢? 夢だよにゃ?
しかし、その異変はどんどん現実味を増していき、オレは事実だと認めざるを得なくなった。
(い、一体にゃにがどーにゃってんだ? 漫画ではよく体が入れ替わったりとかそーゆーのあるけど・・・と、とりあえず)
元に戻るには異変が起きた時と同じ状況を試してみるのが定番だ。
階段から落ちてみるか、と考えて階段を上ろうとした。
その時、背後に人の気配を感じた。 

「ん?」
ぐ~っと上を見上げるとそこにはよく見知った愛しい顔が。
(せせせ、せんぱ~いっっ)
先輩はちらっとオレを見たけど、そのまま階段を上がっていってしまった。
(せんぱい、せんぱい~。オレです。もりにゃがですよ~・・・ってわかるわけにゃいか)
必死で先輩を呼んだ、というより鳴きわめいた。
けれど当然気が付いてくれる訳がない。
(オレは・・・どうしたらいいんだろ。ていうか、この状況がもう全然普通じゃにゃいし・・・)
考えてても仕方ない。今やれることをやってみるしかない。
もう一度階段を上ろうとした時、上の階から降りてくる足音が聞こえた。

(せんぱい?)
「お前、どこの猫だ? 迷子になったのか?」
先輩は膝を曲げてオレを見下ろす。逆にオレは先輩を見上げた・・・いつもと反対だな。
(せんぱい、わかんにゃいかもしれにゃいけど、もりにゃがです。せんぱい・・・)
当たり前だけど猫語は通じない。
「にゃーにゃー鳴かれても・・・オレは猫の言葉はわからんぞ」
声が困ってる。だけどなんとなく優しく感じるのは気のせいかな。
「家に早く帰れ・・・つってもこの雨じゃ無理か」
雨音はまた強くなり、アパートの中に居ても聞こえてくる。
(オレのいえはここにゃんですよ~、せんぱ~い(T_T) ねこだけどオレにゃんですってば~)
「少し濡れてるな。このままじゃ風邪ひくぞ。・・・しかたねえ、拭くくらいはしてやるか」
そう言うと、先輩はオレをひょいと抱き上げて腕に抱えた。
「毛並みもいいし、お前どっかの飼い猫だろ? 体格からしてオスか? おーやっぱり! 立派なモンが付いとる」
少しだけ高く持ち上げられたと思ったら、先輩の顔の前にオレの分身が晒された!
せせ、先輩が オ、オ、オレのをこんな間近で・・・それも“立派”って~~❤
猫のくせにオレは興奮してしまった。
(せんぱーい。さ、さ、触って~)
「よく鳴くヤツだな。ほら、拭くからじっとしてろ」
部屋に入ってオレを床に下ろすと、雨で濡れていたオレの体をタオルで拭いてくれた。
先輩だって濡れてるのに・・・。
ふとタオルを持つ先輩の手が止まる。
「左前足のこれ・・・傷痕か? あいつの傷と同じ場所だな・・・」
(?)
「そういえばお前、あいつと少し似てるかもな。デカいのに妙に愛嬌があるとことか」
(え? 誰のこと? 巴君?)
「まあ、あいつはどっちかつーと犬だけど」
ふっと柔らかい笑顔になった。その優しい表情にオレは驚きながらもうっとり見惚れてしまった。
(せんぱい、せんぱい・・・)
先輩に触れたいのに触れられない、猫になってしまったオレは先輩の足元にすりすりと体をこすりつけた。
今のオレができる、めいっぱいの甘え。いや、猫だからこそできること、かも?
『にゃ~ん❤』
「馴れ馴れしすぎだぞ。ほんとに・・・あいつそっくりだ」
普段は見ることのない優しい瞳で見つめながらオレの頭をなでてくれる・・・その手がとても心地いい。

ソファに座った先輩に近付いてなおも甘えてみる。
足元にくっついては先輩の膝に前足をのせて甘えた声で鳴いた。
『にゃぅにゃぅ~(せんぱ~い❤)』
すると先輩はオレを抱きあげて膝の上にのせてくれた。
(うわ~、せんぱいの膝枕にゃんてはじめてだ~。っていうか膝布団❤)
「体はこんなにあったかいのに寒がりなのか? 全く猫ってのは変な動物だ」
先輩の膝があたたかくて、なでてくれる手が気持ち良くて、オレはだんだん眠くなってきた。
「しかし帰って来ねーな・・・。どこでなにやってんだ、あいつ。・・・雨も止まねーし」
先輩の声が遠くなっていく。
眠りたくないのに、もっと先輩を見ていたいのに、そう思うほど眠気は強くなる。
抗うことができずに意識はどんどん遠のいていった・・・。


「・・・が」
うん?
「森永、起きろ」
聴きなれた声がオレの名前を呼んでいる。
「・・・ん? 先輩?」
「こんなとこで寝るな。疲れちまうぞ」
「あれ・・・?」
寝ぼけていた意識がだんだんはっきりしてきた。
どうやらオレはソファに上半身を預けた状態で眠っていたらしい。
あれ? 体が元に戻ってる? 夢・・・だったのか? そっか、そうだよな。
時計を見ると随分時間が経っていた。いつの間にオレ寝ちゃってたんだろう?

「先輩、雨は」
「もうほとんど止んでる」
「あ、そうだ。おかえりなさい」
「・・・ただいま。ったくなかなか帰ってこねーと思ってたら、オレが出てる間に帰って来て昼寝かよ」
「え? 出た、って?」
「オレよりずっと早く帰ったのに家にいねーから買い物かなんかかと思って。でもお前の傘はうちにあったから・・・」
「もしかして・・・オレを迎えに出てくれた、とか? 傘持って・・・」
「ば・・・煙草買いに出ただけだ(赤面)」
「先輩・・・」
よく見たら先輩の服のところどころが濡れていた。
傘を持たないで外出したオレを気にしてくれたのかな。
この人は一体どこまでオレを探しにいってくれたんだろう、と胸が熱くなる。
「心配させちゃって・・・すみません」
「なにニヤニヤしてんだよ。っつうか心配なんかしてねーし」
「そ、そうですか」
「だけどお前どこに行ってたんだ? いつものスーパーにはいなかったみてーだけど」
やっぱりオレを探してくれたんだ。わざわざスーパーまで・・・有難う先輩。

そこで自分の記憶が曖昧なことに気がついた。
先輩より早く帰ってきてたはずなのに、なんでオレは家にいなかったんだろう?
そもそも家に帰ってきた記憶が・・・ない?

「ところで・・・猫見なかったか? デカい黒猫なんだが」
「猫?」
ねこ? ねこって・・・まさか?
「オレが帰って来た時階段のとこに猫がいて、濡れてたから拭いてやろうとして家に入れたんだ。雨が止んだら外に出そうと思ってたんだけど・・・いつの間にかいなくなってて」
どことなく心配そうな先輩の顔。
間違いない。
信じられないけど、あれは・・・現実だったんだ。

「あ、ああ。そういえばオレが帰ってきてドアを開けた時猫が出て行った、ような・・・」
「なんだ、そうか。・・・なら、いいんだ」
先輩の表情が少し和らいだ。ホッとしたのがオレにも伝わってくる。
「自分の家に帰ったんなら、それでいい」
「先輩・・・」
オレは記憶の中にある先輩の笑顔を思い出して、訊いた。
「先輩・・・動物飼いたいですか? その、猫とか」
「はぁ?」
「なんか・・・猫の話をしてる先輩、嬉しそうだから」
「なんだよそれ。ペットなんて欲しくねーよ。・・・オレもお前もほとんど昼間はいねーんだから世話もろくに出来ないだろーが。それに」
「?」
「一人で暮らしてるんじゃねーんだからさ・・・」
「え? あの・・・?」
「ところで夕飯はどーする? 買い物もしてきてねーみてーだし、出前でもとるか?」
「あ、チャーハンくらいならすぐに作れますけど」
「だってお前・・・疲れてるんじゃねーのか? さっきだって寝こけてただろ?」
「全然大丈夫ですよ」
「そうか?」
「サラダとチャーハンだけでいいならすぐ用意します」
「なら・・・頼む」
「ハイ。・・・ねえ、先輩」
「ん?」
「人間で良かったです、オレ」
「・・・は?」
「先輩に抱きしめてもらったりなでてもらったり、そーゆーのもいいけど・・・やっぱりオレからも抱きしめたいなって」
「? なに言っ・・・」
一瞬で真っ赤になった先輩の顔を包むように胸に寄せて抱きしめた。
優しく、静かに・・・猫だったオレに先輩がしてくれたように。
「き、急になんだよっ」
「こーゆーこともできるし」
そう言って軽く唇を重ねる。
「な・・・な・・・」
「それに、猫なんて飼ったらオレさみしくなっちゃいそうです」
「・・・どーゆー意味だよ?」
「だって、絶対猫の方をかわいがるでしょ、先輩は」
「・・・んなわけあるか
「え?」
今何て言ったの? 声が小さくてよく聞き取れなかったけど、先輩のこの表情は・・・?
「くだらねーこと言ってねーで、飯作るなら早くしろよ」
「はいはい。さ~て支度支度~」
「・・・ったく・・・」

猫だった時のこと、なんとなく体が覚えている。
背中をなでてくれた手の心地よさ、のせてくれた膝のあたたかさ。
猫のオレに先輩はすごく優しかったから、もう少し猫の姿でいても良かったな。
あぁ、ここぞとばかりベタベタくっついとくんだった。
そんな風に考える自分に笑った。

先輩・・・あの猫はちゃんと自分の帰るべきところに帰りましたよ。
そこには、待っててくれてる人もいたんですね。
オレの帰る場所はここだって、オレたちの帰る場所は同じだって
先輩も思ってくれてますか?

これは、逢魔が時・・・魔に逢う時刻に起こった不思議な話。



昨年末に浮かんだネタだったんですがなかなか熟成?させることができなくて
夏も近くなった今頃やっと形に・・・でもやっぱりいまいちだなあ(・・;)
兄さん猫verも想像してみたのですが、なんかうるさく鳴きわめくだけな気がして
作文にはできなかったです(笑)

読んで下さって有難うございましたー。
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